研究概要 |
本年度は前年度から開発・試作中の多機能な高速適応制御深絞り装置を完成させ,それを用いたより広範な材料に適応できる適応制御深絞り加工法の開発を目標とした。以下に具体的な得られた成果を示す。 (1)高速適応制御深絞り装置の開発と性能確認軽験(真鍋,川田,井上) 種々の特性の異なる広範な材料にも適応制御深絞り加工法が適用できることを目指して,室温だけでなく高温環境下やひずみ速度依存性材料に対しても検討できるように,多機能で高精度なコンピュ-タ制御深絞り装置とした。その結果,装置はしわ抑え力を±10kgf,ダイフランジ部は400℃まで昇温可能とし,その分布も約±1℃以内に収めることができた。さらに最大パンチ速度も1000mm/minで誤差0.1%未満であることを確認し,所望の性能が得られたことがわかった。 (2)制御用ソフトウェアの開発・改良(真鍋,川田) 加工速度の高速化を図るため,制御系では前年度購入した「Quick C」を用いてプログラミングを完成させ,あわせて装置の操作性向上のため,MENU画面方式を採用するなど種々の改良により実用的なものとした。制御プログラムの改良,最適化は新たに購入したパソコンで行った。 (3)側壁部の均肉化に適した変圧しわ抑え方式(真鍋) 超塑性材料を用いた深絞り実験によって、ひずみ速度依存性材料も従来金属材料と同様,成形の進行とともにしわ抑え力を高める方式が均肉化に最適であることを明らかにした. (4)円筒深絞り成形における高速適応制抑深絞り法の検討(真鍋,川田) ひずみ速度依存性の著しい超塑性材料ではフランジしわがパンチ速度が速いほど早期に発生することを本試験機によって初めて明らかにした.このような材料では高速適応制抑を実現するためには,パンチ速度を上記のしわ限界に達しないように変速する方式が有用であることを示した。
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