研究分担者 |
本田 義興 久留米工業高等専門学校, 材料工学科, 講師 (10044281)
重松 浩氣 久留米工業高等専門学校, 材料工学科, 助教授 (20037964)
中山 勝 久留米工業高等専門学校, 材料工学科, 教授 (00044272)
笹栗 信也 久留米工業高等専門学校, 材料工学科, 助教授 (50215737)
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研究概要 |
本研究の目的は、高温でも高硬度で耐摩耗性を有する材料の開発を高炭化物系合金に着目して溶造法により行うことである。本年度は材料の高温特性の調査及びブレ-ズ法による高炭化物系クロム鋳鉄と鋼の複合化の研究を行った。 1.高炭化物系クロム鋳鉄の高温機械的性質の調査 炭化物量を増大させるためにC量を共晶組成にした10〜40%Cr鋳鉄の高温材料特性を1000℃までの高温ねじり試験により測定した。その結果,最大せん断ひずみ(γ_<max>)は600℃で現われ始め,800〜1000℃にかけて大幅に上昇するが,Cr量の大きい鋳鉄ほど大きい。高温強度(最大せん断応力:τ_<max>)は600℃まではほとんど変化しないで常温の強度を維持する。それより温度が高くなると漸次低下するが800℃でも150MPa程度あり,中でも27%Cr鋳鉄がもっとも優れ,次に18%Cr鋳鉄となり,40%Cr鋳鉄では基地の影響でかえって減少した。 2.高炭化物系クロム鋳鉄の耐酸化性に及ぼす第三元素の影響 10%Cr系共晶鋳鉄に炭化物形成能の大きいV,Mo,Nb及びWをそれぞれ10%添加した合金について1100℃までの酸化試験を行った。Vは酸化速度を著しく増大させ,耐酸化性を劣化するが,その他の元素は耐酸化性を改善し,その効果はW→Mo→Nbの順に大きく,とくにNbの作用が大きいことが明らかになった。 3.高炭化物系クロム鋳鉄と鋼の複合化の研究 耐摩耗性を向上させるために,C量を高くして炭化物量を増大させるとじん性が低下するので,それを強じんな鋼材と複合化する研究を耐酸化性及び高温強度の優れている26%Cr共晶鋳鉄と軟鋼を用いて行った。純Cu箔をフィラ-として1100〜1180℃の範囲で十分保持して接合すれば,両母材をFeーCrーCuーC合金相が連結して良好な接合が得られ、接合強度も母材の強度に近く,高温での構造材として期待できる。
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