研究概要 |
本年度は,Ce-Didymiumを原料としたR-Fe-B系磁石について,その工業化およびボンデッド磁石用磁性粉としての応用を検討した。 1.Ce-Didymium-Fe-B系磁石の工業化の検討 実験室規模において(BH)max=300kj/m^3以上の特性が得られることは低価格高性能磁石として本系磁石の工業化は重要である。しかも製造方法はNa-Fe-B系とほぼ同一であることから,既存の設備を用いることが可能である。しかしCe,Prの含有は磁化の強さを低下するので,高(BH)max型の磁石(例えば350kj/m^3以上)として不適当である。しかし(BH)max=280kj/m^3が安定して得られることから,汎用性の希土類磁石として発展することが充分に期待できる。 2.ボンデット磁石への応用 ゴム,プラスチックと磁性粉とを混合したボンデッド磁石は磁気特性は低いが,機械的性質の向上,高い生産性などの特長から,その進展が著しい。本研究ではCe-Didymium-Fe-B系焼結磁石の作製において得られた知見に基ずき,ボンデッド磁石用粉末としての利用を検討した。粉砕によって保磁力が低下するのを焼鈍によって回復させることによって磁性粉を作製した。その結果,Na-Fe-B系と同程度の特性が得られることを見出した。これはメルトスパン法による超急冷凝固合金を用いたボンド磁石粉の作製も適用できることを示すものであって,高性能,低価格ボンデッド希土類磁石の磁性粉として期待できる。
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