研究概要 |
1.目的 数百万円程度の少ない費用で手軽に高圧力下の研究が行える装置を試作し、この装置と現有設備である立方体アンビル型高圧発生装置を利用して、超々ジュラルミンの基本合金系として重要なAI-Zn系の高圧下の状態図を作製することが本研究の目的である。 2.実験方法 99.99wt%Al,99.9%Znから大気溶解によりAI-29.8,40.6,50.2,58.3,73.4wt%AI合金を作製し、均一化焼鈍を行った。常圧実験では、これらの合金をそのままあるいは抵抗溶接により接合して拡散対として、大気中あるいはシリカチュウブ内にArガスとともに封入して、焼鈍した。一方、高圧実験は、常圧と同じ上記の合金を4×2.5mmの円板に加工し、これを組み合わせて拡散対としてあるいは4×5mmの合金そのままを、窒化ボロンの容器に入れ、パイロフェライトの圧媒体を通して立方体アンビル型装置あるいは簡易型装置を使って加圧した後焼鈍を行った。簡易型装置は、購入したプレス台上にステンレス製のピストンとシリンダを設置した構造となっている。温度は、±1K程度に制御され、40K/s以上の速度で冷却した。焼鈍後、拡散対と合金はEPMAにより相境界濃度を測定し、状態図を作成した。 2.結果(1)本研究の常圧力下の状態図は今までに報告されているものと良い一致を示している。(2)高圧力を加えることにより、共晶温度は高くなり、αAI相の存在領域は高温側に移動する。たとえば2.1GPaの高圧力を加えると、共晶温度は約100K程度上昇して754Kに、最大固溶度は約2at%程度広がり69at%Znとなった。(添付図面参照)
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