| 研究概要 |
Ni_3Alで代表されるγ'-L1_2金属間化合物の多くは次世代の超耐熱材料として期待され,基礎・応用の両面からの活発な研究が行われているが,材料の組織制御によるものはほとんど見られない.組織制御されたNi_3(Al,Ti),および,第3元素C添加により組織制御されたNi_3(Al,Cr)について得られた成果は以下の通りである.
1.不規則γ相を含むγ'-Ni_3(Al,Ti)規則相単結晶の強度の温度依存性(1)単一相の場合と比較して試験温度の全域にわたり強度は上昇し,また強度が最大になる温度も高温側に移行する.(2)試験温度の全域にわたり不規則γ相と転位間には引力相互作用が働き,773〜973Kではγ'母相中の転位は(111)面上をすべるが,応力除去下では(010)面上に交叉すべりしている.(3)1073K以下では転位は(010)面上をすべるようになり強度は低下する.
2.不規則γ相を含むγ'-Ni_3(Al,Ti)規則相単結晶の強度の方位依存性(1)[001]方位の結晶では活動すべりは全温度域にわたって{111}〈110〉であるにに対して,他の方位では,高温で{111}〈110〉から{100}〈110〉すべり系への交叉すべりがおこる.(2)臨界せん断応力の方位依存性は単相のものに比較して小さい.(3)いずれの方位の結晶においてもCRSSのピ-ク温度はγ相の析出により上昇する.
3.0.2〜0.5mol%Cを添加したNi_3(Al,Cr)中への炭化物の析出(1)溶体化後のビッカ-ス硬度のは270〜290でC添加量が多いほど高くなる.(2)973K時効により時効硬化および過時効軟化が認められる.(3)時効の初期では転位線上に電子線回折よりM_<23>C_6型と同定された微細炭化物の析出が観察された.時効の進行とともに母相γ'中にも微細炭化物の析出がみられるようになり,過時効段階では析出物は〈001〉方向に成長して棒状となる.
(4)M_<23>C_6型炭化物の形態は{111}面で囲まれた八面体であり,母相γ'との方位関係は(100)-γ'//(100)-M_<23>C_6,[001]-γ'//[001]-M_<23>C_6である.
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