研究課題
試験研究
平成元年度の研究実施計画に基づき、研究を行った結果は次のようである。(1)降下火山灰量及び粒度分布:降下火山灰量は、火口上層大気の風向、風速などの気象条件と噴火の規模に左右される。火山灰の粒径は、桜島火口から離れるに従って小さくなる。(2)火山灰の成分分析:(1)で採取した試料について粒度別に分け、水に可溶性成分及び不溶性成分のSO^4_<2->濃度を測定した結果、一般に粒度の小さいものほどSO^4_<2->濃度は大きい傾向を示す。(3)浮選法による陰イオン分離;火山灰試料の粒度別に分けたもの各々について、水に可溶性成分について、金属塩を加え、金属水酸化物のコロイド粒子を作り、共沈させ、pHを調整後、界面活性剤を加え浮選した結果、フッ素イオンはpH6.5、流速50ml/minにおいて90.0%、塩化物イオンはpH6.0流速30ml/minにおいて82.6%、硫酸イオンは、pH3.5、流速30ml/minにおいて84.5%のそれぞれの除去率を示した。(4)鉄筋の腐食電位の測定:コンクリ-ト中の鉄筋の環境に適した塩基性溶液に鉄棒を浸浸し、この鉄棒と照合電極との電位差を高インピ-ダンスの電位差計を用いて測定し、腐食量と電位差との相関を求めた結果、径時変化とともに電位の変動が認められるが、腐食面積と電位差との相関については、明瞭でない。したがって、この課題については、継続して研究を実施する。(5)火山灰を用いた薩摩焼の素地及び釉薬の研究開発:火山灰に対し、可塑性及び耐火性のある粘土を配合する割合を検討した結果、火山灰60〜70%、粘土30〜40%を配合することにより従来の黒薩摩焼の焼成温度より更に低い温度で焼成でき、省エネルギ-的効果があることを見出した。また、火山灰が陶磁器の釉薬として活用に関しては、コバルトブル-、エメラルドグリ-ン等の色調が出ることがわかった。
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)