1。研究目的層間化合物は層状結晶とゲスト化学種が原子、分子レベルで均一に複合した理想的なナノハイブリッドである。本研究は、天然に豊富に産出する粘土鉱物のケイ酸塩層と各種セラミック酸化物粒子の、インタ-カレ-ションによるナノハイブリッド化を試み、その特性を生かした新素材の開発を目的とする。2。研究成果の概要(1)ナノハイブリッド化によるミクロ多孔体の合成と細孔制御:モンモリロナイト粘土を用いて、その層間にシリカゾル粒子をインタ-カレ-トし、ケイ酸塩層間を架橋したミクロ多孔体を合成した。ゾル粒子のサイズを調整することにより、あるいは架橋反応時に有機テンプレ-ト剤を用いることにより、ミクロからメソポア領域にわたる広範囲の細孔径の精密制御が可能になった。(2)層状ナノハイブリッド多孔体の吸着特性:真空自記式精密天秤を用いて、各種溶媒蒸気の吸着特性を測定した。ナノハイブリッド多孔体にゼオライトのそれにほぼ対応する細孔径を有するにもかかわらず、強い疎水性を示すことを明らかにした。この特異性を利用して水溶液系や高湿度な雰囲気からの有機溶媒の回収が可能となると思われる。(3)層状ナノハイブリッド超臨界乾燥:層間架橋ナノハイブリッドをCO_2超臨界乾燥法を用いてカ-ドハウス組織を有する、モノリス多孔体を合成することに成功した。細孔容量のきわめて大きいこの多孔体は、高効率断熱材への利用が考えられる。(4)混合層ナノハイブリッドの合成:粘土ーリン酸ジルコニウム混合層ナノハイブリッドを合成し、イオン交換特性を測定した。
|