研究課題/領域番号 |
01850183
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
荒井 重義 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (10087538)
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研究分担者 |
小林 邦昭 レオニクス株式会社, 常務取締役
鈴木 敏夫 日清紡績株式会社, 取締役研究所長
石川 洋一 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (00167248)
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キーワード | レ-ザ-同位体分離 / 赤外多光子分解による同位体分離 / シリコン同位体の分離 / ヘキサフルオロジシラン / ヘキサフルオロジシランの赤外多光子分解 |
研究概要 |
市販品としては現状では最大級の炭酸ガスレ-ザ-、すなわち8J程度のエネルギ-のパルスを10Hzの繰り返し数で発振するレ-ザ-を用い、流通法を採用し、Si_2F_6の赤外多光子分解に基ずくシリコン同位体の分離を実用規模で試みることが、本研究の目的である。Si_2F_6は赤外多光子分解でSiF_4とSiF_2に分解し、SiF_2は多数会合して白色の固体を生成する。天然のシリコンの同位体組成比は ^<28>Si: ^<29>Si: ^<30>Si=92.2%:4.7%:3.1%であるが、レ-ザ-の波数を950cm^<‐1>付近に選ぶと、赤外多光子分解は極めて同位体選択的で、未反応のSi_2F_6中には ^<28>Siが、一方生成物SiF_4中には ^<29>Siあるいは ^<30>Siが濃縮される。長さ4m、容量13.7litersの反応容器にSi_2F_6を2Torrの分圧で導入し、レ-ザ-光を焦点距離3mのレンズで絞って照射した。窓にはアルゴンを吹き付けて白色固体の付着を防いだ。未反応のSi_2F_6および生成物SiF_4は液体窒素で冷却したトラップに集め、その後低温蒸留でそれぞれを分離した。このような実験規模および実験装置の下で、954.55cm^<‐1>のレ-ザ-パルスにより純度99.7%の ^<28>Siを1時間当り3g、同じく954.55cm^<‐1>のレ-ザ-パルスにより純度12%の ^<29>Siを1時間当り1g、さらに951.19cm^<‐1>のレ-ザ-パルスにより純度33%の ^<30>Siを1時間あたり1gの割合で分離することに成功した。この結果は十分に実用化可能な段階に到達している。Si_2F_6にHIを添加すると白色固体の生成が抑制されることも見い出した。 この外、Si_2F_6の赤外多光子分解に関する理論的な考察を試み、単分子分解速度の理論計算、レ-ザ-光の吸収過程およびレ-ザ-光による誘導放出過程に対するモンテカルロ計算に基ずき、赤外多光子分解の結果を計算機によってシミレ-ションできることを示した。
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