銅イオン交換ゼオライト触媒を用いる一酸化窒素の直接分解プロセスの開発

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01850185
• 研究種目: 試験研究
• 研究機関: 宮崎大学
• 研究代表者: 岩本 正和 宮崎大学, 工学部, 教授 (10108342)
• 研究分担者: 村木 秀昭 トヨタ中央研究所, 主任研究員 ; 井川 一成 東ソー株式会社化学研究所, 第一研究室長 ; 瀬川 幸一 上智大学, 理工学部, 助教授 (60053675) ; 八尋 秀典 宮崎大学, 工学部, 助手 (90200568)
• キーワード: ゼオライト / 銅イオン交換 / 一酸化窒素 / 直接分解

研究概要

当初計画で購入を申請していた自記分光光度計は計画通り納入され、ゼオライト中交換担持された銅イオンの状態解明に有効に活用されている。本年度の研究はほぼ申請時の計画通りに進行し、以下の点が明らかとなった。
1.ゼオライト構造により触媒活性は大きく変化し、特に、銅イオン交換ZSMー5ゼオライトが極めて高い活性を示した。銅イオン一個当りの触媒活性はSi/A1比が大きいほど高かった。しかし、600℃以上の高温ではモルデナイト及びフェリエライトの方がZSMー5よりも高活性であった。
2.イオン交換を繰り返すと銅イオン交換率が100%以上の触媒を調製できた。この触媒の活性は銅イオン交換率の増加にともなって向上した。また、触媒活性は50時間の連続反応でも低下しなかった。
3.V型ゼオライトの場合、Cuイオンの他にCoあるいはNiイオンが共存すると活性が向上した。さらに、銅イオン交換V型ゼオライトを高温処理すると活性が約2倍に増加した。
4.イオン交換時にアンモニアを添加すると迅速に高イオン交換率を持つ触媒が調製できた。特に、pH7.5で調製した触媒の活性及び寿命は従来の調製法で得られた触媒と比べて、ほとんど同じであった。
5.平成元年度予算で購入した自記分光光度計、あるいは既設ESR、燐光、IRで測定した結果に基づき本反応の活性点はCu^+であり、Cu^<2+>-NO^-が反応中間体であることを明らかにした。また、ESR測定からゼオライト中には性質の異なる3種以上のCu^<2+>が存在することがわかった。

研究成果

• [文献書誌] M.Iwamoto: "Enharcement of Catalytic Activity of Copper lon-exchanged Y Type Zeolites for the Decomposition of Nitrogen Monoxide" Bull.Chem.Soc.Jpn.62. 583-584 (1989)
• [文献書誌] M.Iwamoto: "Excessrvely Copper lon-exchdnged ZSM-5 Zoolites as Highly Active Catalysts for Dired Decomposition of Nitrogen Monoxide" Chem.Lett.1989. 213-216 (1989)
• [文献書誌] 岩本正和: "一酸化窒素の接触分解" 触媒. 31. 112-115 (1989)
• [文献書誌] 岩本正和: "CuーZSMー5触媒上でのNOの分解反応機構" 触媒. 31. 385-388 (1989)
• [文献書誌] 岩本正和: "窒素酸化物の接触反応による分解" PETROTECH. 12. 888-893 (1989)
• [文献書誌] 岩本正和: "NO分解触媒の開発とその応用" MOL. 28. 45-51 (1990)
• [文献書誌] 岩本正和: "銅イオン交換ゼオライトによるNOの接触分析" 化学工業. 41. 130-135 (1990)
• [文献書誌] 岩本正和: "NO_xを分解する触媒の開発" 化学. 45. 97-99 (1990)
• [文献書誌] M.Iwamoto: "Catalytic Decomposition of Nitrogen Monoxide" Stud.Sur.Sci.Catal.54. 121-143 (1990)
• [文献書誌] 岩本正和: "機能性無機材料としてのイオン交換ゼオライト" 表面科学. 11. 110-116 (1990)
• [文献書誌] 岩本正和: "一酸化窒素の接触分解とゼオライト" ゼオライト. 7. 9-18 (1990)