研究概要 |
本年度は申請時の計画通り,以下の課題について集中的な検討を行なった. 1.NO分解反応に対する共存ガスの影響. (1)銅イオン交換ZSM-5のNO分解活性はO_2が共存すると大きく低下した.また,CO_2の共存は分解活性には何の影響も与えなこと,H_2Oの共存は活性を可逆的に低下させ,SO_2の共存は活性を不可逆的に低下させることがわかった. (2)酸素と炭化水素ガスが共存すると,200-300℃という低温でNOの選択還元が高効率で定常的に進行することを見いだした.この反応はO_2の共存により促進されること,ある特定の温度領域でのみ認められることがわかった. 2.酸素過剰下における炭化水素によるNOの選択還元反応. (1)Cu-Z触媒のNO除去率は炭化水素濃度が高くなると単調に増加した.また,C_3H_6を還元剤として使用した場合,O_2濃度0.8〜2.0%で最大となった. (2)O_2と炭化水素が共存すると,SO_2存在下でもNOの除去が可能であることを見いだした.さらに,Cu-Zは高GHSV(10000h^<‐1>)下でも低温で極めて高いNO除去活性を示すことが明らかとなった. (3)N_2への転化率はゼオライト構造に依存し,活性序列はCu-ZSM-5(N_2への転化率,31%)>Cu-モルデナイト(26%)【approximately equal】Cu-L(25%)>Cu-フェリエライト(23%)>Cu-Y(5%)の順であった。また,活性は交換率80-100%までは銅イオン交換率の増加と共に増加し,それ以上ではわずかに減少した. (4)種々のカチオン交換ゼオライト上でのNO還元反応について検討し,銅イオン交換体以外でも,H-,Co-,Ag-,Zn-ZSM-5が本反応に対して,250-500℃の温度範囲で活性であることがわかった.
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