燃料電池は水素や炭化水素を原料とする最もエネルギ-転換率の良い連続運転型の電池として注目されているが、現時点ではリン酸塩系燃料電池として実用化されつつある。更に次世代は溶融炭酸塩溶を使った高温型の電池であるが、いづれも液体であり、大型プラントには有利であるが取扱い上抱介であり、小型し難い欠点を持つ。固体燃料電池は固体電解質を用いるので、小型化、軽量化でき、多くの小型、中型装置の電源として有利である。しかしながら、現況の固体電解質は電気抵抗が大きかったり、非常に小さくても不安定であったり、満足するものは得られていない。そこで本研究では先ず、既存の固体電解質をプラズマ溶射法によって薄膜として製造し、電気抵抗の低下を、作動温度の低下を目的として実験を行なった。実験はZrO_2(4%Y_2O_3)、MgO・Al_2O_3、SrCeO_3の三種の固体電解質について各々の原料粉体を混合して溶射し、得られた薄膜の組成構造、電気伝導度の測定を行なって、固体電解質としての性質について検討を行なった。得られた結果は次の通りである。 (1)安定化ZrO_2では焼結によるものとほぼ同一の構造の薄膜が得られたが、電気伝導度は一桁小さかった。しかし薄膜化しても200μm以下にすると良好な物性のものが得られなかった。 (2)Al_2O・MgOの溶射をAl_2O_3とMgOの混合粉体で行なったが、X線回折結果からはスピネルの生成が認められなかった。 (3)SrCeO_3の製造にSrCO_3とCeO_2の混合粉体によって行なった。この場合は、相互に溶融せず、もろい膜となった。ZrO_2については更に薄膜化が努力を、MgO・Al_2O_3、SrCeO_3については化合物形成条件の確立を進めている。
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