研究分担者 |
滝沢 智 ディックハーキュレスK. K., 研究所, 研究員
加藤 昌子 奈良女子大学, 理学部, 助手 (80214401)
黒田 玲子 東京大学, 教養学部, 助教授 (90186552)
佐藤 光史 国立科学博物館, 理工学研究部, 研究員 (10154105)
|
研究概要 |
天然に豊富に存在する安価な糖を原料として、付加価値の高い稀少糖が合成できれば、その有用性は極めて高い。以上の様な観点から本年度は以下のような研究を行った。 1.当研究室で先に糖変換能力があることが判明しているNi^<2+>ーNー置換ジアミン錯体を手がかりに、ポリアミン部位、ならびに金属イオンを変えて、より変換能力の高い金属錯体触媒の探索を行った。その結果Co^<2+>イオン、ならびにCa^<2+>イオンとNー置換ジアミンがC2エピメリ化に有効であることが判明した。特にCa^<2+>の場合には、モノアミンとの組み合わせでも有効であることを見いだした。 2.Ni^<2+>およびCo^<2+>イオンとポリアミンの系によるC2エピメリ化反応の機構を、同位体標識されたアルド-ス(DーGlcおよびDーMan)を用いて、NMRスペクトルにより検討した。その結果、立体特異的な炭素骨格の転移を伴った、ピナコ-ル転移反応型の珍しいC2エピメリ化であることが明らかとなった。Ca^<2+>とトリエチルアミンの系による糖の変換反応を、同位体標識したDーGlcを用いてNMRスペクトルにより検討した。その結果、エピ化はNi^<2+>、およびCa^<2+>イオンとNー置換ジアミンとの系と同様に、炭素骨格の転移を伴って進行し、ケト-スへの異性化は、炭素骨格の転移は起こらずに進行することがわかった。 3.Ni^<2+>イオンとN,N,N′ートリメチルエチレンジアミンの系では、C2位とのC3位の水酸基がCiS配置になるマンノ-ス型のアルド-スが、立体選択的に錯形成することが明らかとなった。さらに、N,N,N′ートリメチルプロピレンジアミンが全ての天然アルド-スのマンノ-ス型の糖に対して、選択的錯形成を示すことを明らかにした。この基質特異的な錯形成反応をEXAFS法により検討したところ、この要因はマンノ-ス型糖のフラノ-ス型の、架橋配位にあることが明らかになった。
|