研究課題/領域番号 |
01850190
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
矢野 重信 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)
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研究分担者 |
滝沢 智 ディックハーキュレスK. K, 研究所, 研究員
加藤 昌子 奈良女子大学, 理学部, 助手 (80214401)
黒田 玲子 東京大学, 教養学部, 助教授 (90186552)
佐藤 光史 国立科学博物館, 理工学研究部, 研究員 (10154105)
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キーワード | エピ化 / 糖変換 / 糖アルコ-ル / 金属錯体 |
研究概要 |
前年度の研究に引続き、本年度は以下のような研究を行った。 1.前年度から継続して、金属イオンとアミンの協同効果による糖質変換反応のさらなる探索を金属イオンならびにアミンの組合せを変化させて行った。その結果、ニッケルーNー置換ジアミン錯体がアルド-スのCー2位をエピ化し、しかも反応が温和な条件下で、きわめて速く進行することや、ある特定の立体配置の水酸基を有する糖だけが選択的にニッケルと錯形成することを明らかにした。またカルシウムーモノアミン系でもケト-スへの異性化とともに同様なCー2エピ化が起こることなどの興味深い現象を見いだした。さらにこれらの系における変換反応のメカニズムを電子吸収、円偏光二色性スペクトル、EXAFS法などの各種分光法により解明した。 2.糖質に対しレセプタ-機能を有する金属錯体の設計を目指し新規配糖錯体の合成ならびにキャラクタリゼ-ションを行った。電子吸収、高偏光二色性および核磁気共鳴スペクトル、ならびにX線結晶構造解析の結果から分枝状ポリアミンであるトリス(2ーアミノエチル)アミンがアル-ドスを一挙に3分子Ni(II)錯体上に対称性よく効果的に集積することを見いだした。 3.我々が独自に見いだした糖質の立体特異的変換における反応条件の最適化、オリゴ糖、複合糖質等への反応の汎用化、ならびに異性化等のより高次の機能を有する反応設計を行い、化学工業的な検討を加え、糖変換システムの実用化を目指し検討を行った。具体的にはCa^<2+>イオンージエチルアミン系によるアルド-スのCー2エピ化による糖の変換の発展的応用として天然に豊富に存在するDーグルコ-ス出発原料として、最近甘味料として注目されている糖アルコ-ルの一種であるDーマンニットの製造プロセスを設計した。
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