研究概要 |
電極反応を用いて以下の成果を得た。i)カルバメ-トをメタノ-ル中で電極酸化することによって得られるαーメトキシカルバメ-トをルイス酸で処理してαーアミノカチオンを生成させ,これに求核剤としてアリ-ルオレフィンを反応させ,中間に生じるカチオンをα′位で補足することによりβーアリ-ルピロリジンが容易に合成できることを見出しこの方法をメセンブリンの合成に応用した。ii)環状アミンのN原子上およびα位置換基を利用して光学活性の置換ピロリジン誘導体合成の道を開拓した。iii)電極酸化によるピペリジン環のβ位の活性化法を用いて光学活性Nーメチルシュウドコンヒドリンを合成できた。iv)ピペリジン環のα位およびγ位ヘアルキル基を選択的に導入する方法を開発した。v)ピペリジン骨核へ活性メチレン基を選択的に導入することができた。この反応を利用して,キニ-ネの前駆体であるメロキネン,光学活性βーエチルーγーヒドロキシエチルピペリジンあるいはシンコロイポンエステルの合成を行った。vi)コカイン,プレコシネリン合成を目指してαとα′位およびαとγ位にカチオンを発生させ,ジアニオン等価体との反応により含窒素双環化合物を合成することができた。vii)電極還元脱シアノ化の効率的条件を見い出し,これを利用してα位アルキル置換ピロリジンおよびピペリジン誘導体の新しい合成法を開発した。また,αーシアノ環状アミン誘導体の窒素原子上の置換基がベンゾイル基のとき,脱シアノ化ではなく,NーC結合開裂が起こることを見い出した。viii)カルバメ-トのα位を電極酸化を利用することによりチオフェニル化し次いで電子移動型還元剤を用いてこのチオフェニル基を脱離してαーアミノカルバニオンを発生,アルキル化する方法を開発した。また,α位に燐原子を含む置換基を導入することによりα位のビッティヒ型反応を起こすこともできた。
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