研究課題/領域番号 |
01850197
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岡畑 恵雄 東京工業大学, 工学部, 助教授 (80038017)
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研究分担者 |
迫尻 弘通 セイコー電子工業(株), 研究開発部, 主任研究員
安宅 龍明 セイコー電子工業(株), 研究開発部, 課長
石井 保夫 花王(株), 界面科学部門, 主任研究員
辻井 薫 花王(株), 基礎科学研究部門, センター長
有賀 克彦 東京工業大学, 工学部, 助手 (50193082)
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キーワード | 水晶発振子 / 脂質二分子膜 / 匂い物質 / 苦味物質 / センサ- |
研究概要 |
本研究の目的は、味覚や嗅覚細胞上での分子認識による化学受容メカニズムに基づいて、二分子膜被覆水晶発振子を用いた味・匂いセンサ-を開発することにある。二年計画の研究であるが、今年度の研究の結果、以下のような成果が得られた。 1)水晶発振子の電極上に合成二分子膜やリン脂質キャスト膜あるいはLB膜を累積した。水晶発振子としては、9MHz,ATカット,直径9mmのものを用いた。この発振子を用いれば1ngの物質が吸着すれば0.95Hz振動数が低下することが確かめられた。 2)二分子膜被覆水晶発振子に周波数カウンタ-とLCRメ-タ(高精度電流電圧計)を接続し、パ-ソナルコンピュ-タ-によりデ-タ処理をして、振動数変化から脂質膜への分配係数を求めるシステムを確立した。電極部分を水中に浸して、キニ-ネ、カフェイン等の苦味物質のエタノ-ル溶液を添加した時の二分子膜への吸着による振動数の低下と、膜電位、膜低抗の経時変化を測定した。その結果、各種匂い物質の強度(人の嗅覚閾値から求めたもの)と匂い物質の脂質膜への分配係数(発振子の振動数変化から求めた値)の間にはよい層間があることがわかった。 3)各種苦味物質の膜への分配係数と人間の味覚いき値の相関について調べたところ、この場合もよい層間があることがわかった。 4)以上の成果から、二分子膜被覆水晶発振子は匂い物質や苦味物質の強度を計るセンサ-として実用化できる見通しがたった。来年度はさらに幅広い匂い物質などの測定を行ない、より広範囲の領域で使えるセンサ-として確立したい。
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