研究概要 |
直鎖状天然多糖カ-ドラン(1,3ーβーDーグルカン)をピペリジン硫酸を用いて硫酸化したカ-ドラン硫酸は、3.3μg/mlの低濃度でエイズウイルスの増殖を完全に抑制することをすでに見出した。カ-ドランと同じ構造を持つ分枝天然多糖レンチナンを硫酸化したレンチナン硫酸も高い抗エイズウイルス作用を持つことも明らかにした。カ-ドラン硫酸の血液中での半減期は分子量7万のもので1時間,17万のもので3時間であることがわかった。そこで生体内で長時間活性が持続するように低い生分解性の期待できるLーグルコ-スをカ-ドランに分枝し,硫酸化した。Lーグルコ-スから常法に従ってオルトエステルを合成した。カ-ドランをクロルベンゼンに分散させ,Lーグルコ-スオルトエステルを加え,触媒として2,6ールチジンパクロレ-トを用いて還流することにより縮合を行った。この反応は1回では枝の割合が少ないため,3回繰り返して縮合を行ったところ,35%Lーグルコ-スをカ-ドランに分枝させることが出来た。分枝度の決定は^<13>CNMRスペクトルを測定し,カ-ドランとLーグルコ-スのC1吸収の積分値を比較することにより行った。希水酸化ナトリウム水溶液で脱アセチル化を行ってLーグルコ-ス分枝カ-ドランとした。ピペリジン硫酸を用いてDMSO中,85℃,60分間硫酸化反応を行ってLーグルコ-ス分枝カ-ドラン硫酸を合成した。分子量は4万7000,元素分析値から求めた硫酸化度は1.3であった。同様にして39%Dーグルコ-スを分枝したカ-ドランを合成し硫酸化した(分子量4万7000,硫酸化度1.3)。続いて抗エイズウイルス作用を調べるために,MTー4細胞とエイズウイルス産生細胞を用いてMTー4細胞の増殖果及び抗原陽性率すなわちどれくらいの割合でMTー4細胞がエイズに感染しているかを調べたところ,1.6〜8μg/mlの低濃度でエイズウイルスの感染を完全に抑制することがわかった。
|