研究概要 |
高い抗エイズウイルス活性をin vitroで示すカ-ドラン硫酸を合成して来た。動物を使ったin vivoテストで,この硫酸化多糖は比較的短時間で血液中から消失し,体組織中に移行・蓄積されてしまうことを見出した。本研究では,低濃度でも有効に働く,出来るだけ高活性の硫酸化多糖を合成すること,および生分解性の低いことが期待される硫酸化多糖を作ることを目的として研究を行った。糖ユニット当り2つの水酸基を持つリボフラナンから硫酸化度0.26〜1.80のリボフラナン硫酸を作った。エイズウイルスHIV-1のMT-4細胞を用いるRSの抗エイズウイルス活性測定では,硫酸化度の増加によって活性は直線的に増加し,硫酸化度1.80Mn7800のRSは10ug/mlという低濃度でHIVによって起こされる細胞傷害を完全に阻害した。しかし,このRSは30U/mgという比較的高い抗凝血活性を持っていた。無水マンノ-スを重合させて作った(1→6)-α-マンノピラナンを硫酸化してマンノピラナン硫酸(MS)を合成した。MSの水酸基の硫酸化の受け易さは3位OH>2位OH≫4位OHの順序であった。硫酸化度1.19〜1.83のMSは3.3ug/mlで完全感染阻害という高い抗エイズウイルス活性を示した。MSは比較的低い程度から中程度12〜35U/mgの抗凝血活性を持っていた。硫酸化オリゴ糖部分がウイルスに対する作用部位ではないかと推定し,硫酸化アルキリオリゴ糖を合成したところ,硫酸化ドデシルラミナリオリゴ糖などが非常に高い抗エイズウイルス活性を示すことを見出した。分解酵素のないL型グルコ-スやマンノ-スを分枝に持つL糖分枝多糖を合成し,硫酸化した。硫酸化し糖分枝多糖は,高い抗HIV活性を示した。また,in vivoで生分解性を受けないことは,血液中に導入後,抗凝血活性の持続性で調べた。
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