研究分担者 |
江川 大海 チッソ(株), 開発室・横浜分室, 研究員
小野 浩 チッソ(株), 開発室・横浜分室, 主席研究員
東 廣巳 チッソ(株), 開発室・横浜分室, 室長
野中 敬正 熊本大学, 工学部, 教授 (50040423)
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研究概要 |
昨年度の研究結果から2,3ーエピチオプロピルメタクリラ-ト(ETMA)を主成分とするポリマ-が電子線レジストとしての有効性が認められたので,本年度は高感度,高解像度でさらに耐ドライエッチング性を有する放射線レジストを開発するために系統的に詳細な検討を行った。まず、分子量がほぼ同じで,分散度の異なるPETMAに電子線を照射し,感度及びコントラスト(γ)を求めた。ポリマ-は分別により得られたPETMAー1(M^^ーw=40000,M^^ーw/M^^ーn=2.8)及びPETMAー2(M^^ー=47000,M^^ーw/M^^ーn=1.6)を用いた。PETMAー1は分子量が小さいにもかかわらず,高い感度を示した。コントラストは分散度の小さいPETMAー2がPETMAー1より高い値を示した。つぎに分子量の異なる,ETMAーpークロロスチレン(pーCS)共重合体の感度曲線を求めた。その感度は分子量に大きく依存し,分子量の増加とともに向上した。また共重合体中のETMA含量が高いものほど感度は高く,PETMAではpークロロスチレン重合体(PpーCS)の50倍の高い感度を示した。しかし,コントラストはETMA含量が高井ものほど低い値を示した。重合体は電子線照射後,そのまま真空中に放置すると,分子間の橋かけが進む,つまり後硬化現像が認められ,約60分後に飽和に達した。ETMAを含む重体合に腐食性ガス中でプラズマを照射し,そのエッチング速度を測定した。ETMA単独よりもスチレン策導体を共重合させたものが,エッチング速度が小さく耐プラズマ性が向上した。ETMAフィルムに電子線を照射し,照射前後の赤外呼収スペクトルによりPETMAの橋かけ機構を検討した。PETMAは電子線照射により,PETMAの側鎖に位置するエピスルフィド基の開裂により分子間橋かけが起こることがわかった。共重合体の電子線レジストとしての解像度は,E5pC5(ETMA:pCS=5:5)で0.6μmであった。
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