研究課題/領域番号 |
01850206
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 邦夫 東京大学, 工学部, 教授 (70010808)
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研究分担者 |
堤 敦司 東京大学, 工学部, 助手 (00188591)
山崎 量平 東京大学, 工学部, 助教授 (10023277)
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キーワード | 燃料電池 / 三相流動層 / 水素極特性 / 限界電流 |
研究概要 |
燃料電池は新しい高効率発電技術として注目され、いくつかの試作装置がつくられてきたが、液漏れなど装置構造上解決困難なトラブルが次々と発生して今日まで実用化に至っていない。 そこで、電解液中に固相の触媒粒子を懸濁させる中に反応ガスを吹き込む三相流動層の燃料電池への応用を提案した。今年度はまず水素極の特性を明らかにする実験を行った。 装置本体はアクリル製で、縦50mm、横6.5mm、高さ180mmの2次元流動層2個から成り、1つは水素極用、他方は対極用に用いる。触媒粒子としては銀粒子を、集電体として50mm×60mmのニッケル板を用いた。2つの部屋間は厚さ5mmのガラスフィルタを配置して、粒子の対極への移動を防いだ。電解液は25%水酸化カリウム水溶液である。参照電極はAg/AgCl電極を使用し、作用極との液絡に10%硝酸カリウム溶液を寒天中に保持したものを用いた。 分離特性に及ぼす粒子量や粒径の影響を調べたところ、限界電流が小さく影響が殆どないことから気液間物質移動過程が大きな抵抗過程となっていることが考えられた。 この知見から、気液間の液膜を乱すことで気液間物質移動を促進させることを試みた。極めて細かい粒子を導入して液膜中に侵入させることと、親水性銀粒子に揆水性を一部付与することの2つを試みたところ、前者は全く効果がないが、後者の方法で限界電流に大きな増加をもたらすことが見い出された。揆水剤としてはPTFEを使用している。 律速過程として、気液間物質移動過程が存在することと、その改善方法を検討してきたが、流動状態との関係を明確にして最適の流動条件を求めること、酸素極側の特性を同様に明らかにすること、そして両極を結合して燃料電池を完成させることが今後の課題である。
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