研究概要 |
現在、石油・石炭などの化石エネルギ-の大量消費による二酸化炭素の放出によって、地球の温暖化が進行しているという地球環境が問題となっている。この問題は化石エネルギ-の消費を押えるか、あるいはエネルギ-有効利用を推進することによってしか解決できない。焼料電池は、化学エネルギ-から電気エネルギ-への理論変換効率100%と高くエネルギ-有効利用発電システムとして期待されている。本研究は、三次元電極である三相流動層を用いた高効率・大容量燃料電池システムを開発しようとするものである。本年度は下記の実験を実施し、所定の成果を得た。 1.三相流動層の気液間物質移動速度の測定 内径19cm,高さ2.5mの三相流動層に酸素を吹き込み溶存酸素濃度を測定することによって、物質移動速度k_Laを求めた。粒径を88μmから数mmまでと大きく変化させて、粒径の影響を調べ、ガス流速、液物性などの影響も含めた相関式を得た。これによって燃料ガスである水素および酸素の吸収速度の推定が可能となった。 2.三相流動層水素極の電極特性の解析 内径10cm,高さ80cmのアクリル製三相流動層を製作し、ラニ-ニッケルをアルカリで展開した後、流動粒子として用いた。水酸化カリウム水溶液を電解質とするアルカリ型電池を構成して、水素を吹き込み、ポテンショオスタットを用いて電流一電圧曲線を測定した。この結果、10A以上の大電流が得られ、物質移動の抵抗は小さく、優れた電極が実現できたことを確認した。触媒粒子量、ガス流速などを変化させて、電気化学特性に対する影響を調べた。
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