燃料電池は、エネルギ-効率が高い優れた発電システムとして期待されている。しかし、現在開発されている燃料電池は、二次元構造であるため構造が複雑となり大型化が困難でスケ-ルアップメリットが期待できない。そこで、流動層電極を用いて流動触媒粒子の表面で電気化学反応を行わせ電気を取り出すという、化学プラント型の燃料電池システムを開発することを目的として研究を行った。これまで三相流動層の気液間物質移動速度の測定、三相流動層水素極の電極特性の解析を行なってきたが、最終年度である本年度は新に水素極と同じ大きさ、構造を持つ流動層酸素電極を製作し、その電極特性を調べた。その結果、以下の知見が得られた。 1.酸素極の電極反応の理論平衡電極電位は、銀-塩化銀電極に対して0.17Vであるが、測定された平衡電極電位は、ラネ-銀を用いたときは約‐0.03V、銀を担持した活性炭の場合は‐0.18V〜‐0.35Vを示した。これは、過酸化物イオンの触媒による分解が起こって混成電位が生じためと考えられる。 2.電流値が0.1〜0.5Aの領域でTafelプロットは直線にのり、この領域では酸素電極反応の活性化過電圧が支配的であることがわかった。 3.オ-ム抵抗のうち、触媒粒子と集電体の間の接触抵抗が大きい。 4.触媒としてラネ-銀と活性炭に銀を担持させたものを用いたが、銀を担持した活性炭のほうが粒子が大きく懸濁しないため、より大きな電流値が得られた。 5.KOH濃度が大きくなるほど大きな電流が流れた。 これらの結果より、アルカリ型三相流動層燃料電池プロセス開発に必要な電極特性を明らかにした。
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