本研究は超微粉体の流動特性を定量的に把握し、CVD反応装置としての流動化技術を確立することを目的とし、本年度は以下の成果を得た。 1.直径7cm長さ2mのパイレックス製流動層を設置し、流動化粒子としてみかけの比重の小さいシラスバル-ン(径約300μm)を用い、常圧下と減圧下の流動化状態を比較した。流動化ガスは窒素ガスを用いた。層内の気泡特性を複数個の光ファイバ-プロ-ブによって検出し、気泡径及び気泡の上昇速度を測定した。シラスバル-ンは減圧下(600Pa)においても流動化した。減圧下の気泡径は常圧下に比べて大きく、また、層上部で巨大化する傾向にあった。気泡径の増大にともない上昇速度も増加した。結晶子のサイズが30-400nmのSi_3N_4、SiC、TiO_2、Al_2O_3についても数100μmの凝集体を形成し、良好に流動化した。 2.直径4cmのベンチスケ-ルの流動層を用い、熱化学CVDにより、各種超微粉体の表面処理を行なった。Si_3N_4あるいはAl_2O_3粒子を流動化し、Ticl_4を酸素で酸化した場合にはTiO_2、アンモニアで窒化した場合にはTiNを粒子表面に析出させ、Si_3N_4-TiN、Al_2O_3-TiO_2、Al_2O_3-TiN複合粒子を製造した。Si_3N_4-TiN複合粒子製造の場合、凝集粒子内のTiNの分布は反応温度700℃では均一であるが、900℃まで上げると凝集粒子の周辺部のみに析出した。この現象は、凝集体内へのガスの拡散速度と反応速度の大小で決まるものであり、現在、エアロゾル反応器を用いて、TiN微粉の生成速度を測定中である。他の2種の複合粒子についても同様の結果を得た。 3.現在、CVD反応装置は減圧下の熱CVD反応を行なうために改良中である。これとは別のRFプラズマ減圧流動層を用いて、Ti粒子の窒化及び炭素繊維の表面酸化を行なった。マイクロ波プラズマCVD装置を組み立て、RF-マイクロ波プラズマ流動層でCVD反応を行なう予定である。
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