気相中で化学組成と結晶形状が厳密に制御された超微粉体を製造するプロセスは、最近注目を集めているものであるが、工学的には原料又は生成した粒子のハンドリング技術が重要なノウハウとなる。粉体処理には流動層が最適であることは知られており、超微粉体も流動化してハンドリングすることが極めて望ましい。本研究は、超微粒子の流動特性を定量的に把握するとともに、CVD反応に応用することを目的とし研究を行なった。 1.常圧から1mmHgまでの圧力及び常温から200℃までの温度範囲で、結晶子のサイズが30ー400nmのSi_3N_4、SiC、Al_2O_3、TiO_2などをの微粒子を流動化し、気泡特性、粒子の飛び出し、粒子の混合などを測定した。流動化ガスは乾燥空気または窒素を用い、その圧力下での空塔速度は1cm/s以上とした。また、難流動性の粒子については、粗粒を用いた媒体流動層として流動化した。流動化状態は層内に固定した複数個の光ファイバ-プロ-ブと圧力センサ-によって検出した。気泡、スラッギング、あるいはチャネリングの大きさと安定性は、測定位置と流動条件の関数としてまとめた。また、超微粉体の流動性に及ぼす粉体物性の影響を調べた。 2.ベンチスケ-ル装置を用いて実際にCVD表面処理反応を行い、コ-ルドモデルでの実験結果と対照し、流動層CVD操作を総合的に評価した。すなわち、直径28mmのベンチスケ-ルの流動層で反応実験を行なった。熱化学CVD及び低温プラズマCVDを用いて、Si_3N_4およびAl_2O_3の微粒子を流動化し、NH_3とTiCl_4を吹き込み、電気伝導性のTiNをコ-ティングした。また、Al_2O_3粒子を流動化し、NH_3とAlCl_3との反応により生成する熱伝導性のAlNをコ-ティングした。いずれの系においても、超微粉のハンドリングとCVD反応を良好に制御することができた。
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