研究課題
試験研究
酸性土壌における植物生育の主要な阻害要因は、主としてアルミニウムイオンの濃度過剰にある。本試験研究では、細胞工学的手法、とくにストレス選抜法によりアルミニウムイオン耐性のオオムギ並びにニンジン培養細胞を選抜し、その再分化によって得られた植物体のアルミニウム耐性を水耕栽培などで調べ、以下の結果を得た。(1)オオムギ(K16系統)の培養細胞を1mMのアルミニウムイオン含有の固形培地にプレ-トして選抜した。アルミニウム耐性を調べたところ、50%生育阻害へのアルミニウム濃度は、非選抜細胞の0.26mMに比して選抜細胞の0.7mMと、両者間に明らかな相違が認められた。アルミニウムストレス非選抜並びに選抜両オオムギ培養細胞を再分化した。再生植物から得られた種子を川渡黒ボク土壌に播種して栽培試験を試みた。選抜系統の種子は、非選抜系統またはオリジナル種子に比して、とくにリン酸無添加の石灰添加区において明らかに良好な生育を示した。(2)ニンジン(MS_4寸)の培養細胞からも細胞工学的手法によりアルミニウム耐性変異種を選抜した。選抜培地はpHを4.0とし、リン酸を0.1mMに減じ、塩化アルミニウムを添加することでアルミニウムをイオン状に保持調製することができた。上記のストレス条件下(アルミニウムイオン0.5〜1.0mM)で282個の耐性細胞塊が選抜された。このうち7個の細胞塊から再分化した28個のニンジンから自殖により種子が得られた。種子を発芽させた幼苗による水耕試験の結果、これら種子にアルミニウム耐性が確認された。
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