研究概要 |
本研究の目的は,いわゆるニュ-ロキニン群神経ペプチドの三種のレセプタ-であるNKー1(サブスタンスP選択性),NKー2(ニュ-ロキニンA選択性)ならびにNKー3(ニュ-ロキニンB選択性)に特異的に拮抗作用を示すアンタゴニストをデザインして創製することである。我々はこれまでにアンタゴニスト活性を期待した30種を越えるペプチドアナロ-グを化学合成し,その薬理活性を検討してきた。その合成の基本的な方針は,nativeなそれぞれのペプチドが持つ特異性を十分に保持したアナロ-グを作ることで,またそのことが選択的な拮抗作用を持つペプチドのデザインに結び付くものと考えた。従って,我々が構造活性相関の研究で見い出した結果に基ずき,サブスタンスPの5位グルタミン,8位フェニアラニン,ニュ-ロキニンAの4位アスパラギン酸,5位セリン,7位バリン,さらにニュ-ロキニンBの4位アスパラギン酸,5位フェニルアラニン,7位バリンなど,それぞれのペプチドの構造特異性を保持させたDートリプトファン含有アナロ-グでアンタゴニスト活性を示すもののスクリ-ニングを意図して,種々のペプチド誘導体を合成した。それに合成ペプチドについて,ウサギ頸静脈,ウサギ肺動派,ラット肺門脈などそれぞれNKー1,NKー2,NKー3などのレセプタ-に特異性を示す平滑筋標品における挙動を比較検討した。さらに,従来活性相関の研究の過程で,合成アナロ-グのうちきわめて低い活性しか示さず,その以上の検討を行わなかったペプチド誘導体についても系統的にそのアンタゴニスト作用を調べる必要があると考え,特にC端側のアミノ酸が欠落した誘導体の調製をも行った。また、関連ペプチドとしてボンベシン群のアンタゴニストとして我々が開発した6位アラニン置換のGRPー10の性状についての検討を併せて行った。
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