研究課題/領域番号 |
01860022
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
白石 信夫 京都大学, 農学部, 教授 (70026508)
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研究分担者 |
坂 志朗 京都大学, 農学部, 助教授 (50205697)
村山 宏 日立化成モールド(株), 技術部, 技師長
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キーワード | 木材 / 溶解パルプ / ポリプロピレン / 無水マレイン酸変性ポリプロピレン / 相溶化剤 / 複合材料 / アイオノマ- / フェノ-ル樹脂成形物 |
研究概要 |
未利用森林資源や工業廃木材の有効利用技術の開発ということで、合成高分子との複合化を前年度に引き続き検討し、次の結果を得た。(1)ポリプロピレン(PP)と溶解パルプ(DP)に少量の無水マレイン酸変性PPの(MPP)を加えて混練複合材料を調製し、この複合材料中でのMPPの分布を知るために、ヒドラジン処理と四酸化オスミウム処理を用いた二段階染色法でMPPを選択的に染色し、エネルギ-分散型X線分析装置を装備した透過型電子顕微鏡で観察を行った。その結果、DPとPPの界面にMPPが相溶化剤として局在し、中間相を形成していることが認かめられ、MPPが相溶化剤として機能していることの証明の一つが得られた。(2)PPとMPPおよび種々の木質充填剤から各種の混練複合化材料を調製し、強度的性質について比較した。各充填剤の比較から、反応性水酸基に富むものほど複合化物の強度特性を高めることが示されたが、充填剤のアスペクト比の違いに対しては大きな差は認められなかった。また、変性度の高いMPPを用いるほど複合材料の強度は増大した。これらの結果は、混練の際にMPPの酸無水物基と充填剤の水酸基のエステル結合によるグラフト反応の生起が重要な役割を果たしていることをあらためて示した。(3)PPーMPPー木材の複合系に酸化マグネシウム(MgO)を添加する場合、アイオノマ-構造を生起することによる強度の増大と、MgOの過度の存在の際に目立ってくるその酸無水物基との反応によるMPP本来の機能の低下が認められた。(4)木材をフェノ-ルと酸触媒の存在下150℃に30〜90分加熱して得られる可溶化物より、遊離のフェノ-ルを留去すると、固形物が得られる。このものは、50部の木粉充填剤、8部のヘキサミンその他と混練して、170℃で2分成形すると、対応のフェノ-ル樹脂成形物と曲げ強度が同等で、シャルビ-衝撃強度が1.4倍の成形物が得られる。
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