研究課題/領域番号 |
01860024
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
楠田 理一 高知大学, 農学部, 教授 (90036715)
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研究分担者 |
村岡 愛一郎 アース製薬(株), 研究第三部, 研究員
三原 茂 アース製薬(株), 研究開発部, 研究第三部長
西村 昭 アース製薬(株), 研究開発本部, 専務取締役
川合 研児 高知大学, 農学部, 助教授 (60127925)
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キーワード | ブリ / 類結節症 / リボゾ-ムワクチン / 生体防御能 / 血清 / マクロファ-ジ / リンパ球 / 有効性 |
研究概要 |
ブリ類結節症に対する実用的なワクチンを開発するために、ホルマリン不活化菌体ワクチン(FKC)が検討されてきたが、十分な効果を得ることができていない。本研究はFKCに代わる有効なワクチン抗原を検索するために、Pasteurella piscicidaからリボゾ-ムワクチンを調製し、有効性、有効成分および生体防御能を以下の手順によって検討した。 1.P.piscicidaから調製したリボゾ-ム画分(RBPおよびRBS)、リポ多糖(LPS)、外膜成分(OMF)、菌体粗タンパク画分(PCA)、菌体外産生物(ECP)およびFKCの有効性を比較した。 2.RBPを1.6、16、160、1,600μg RNA、FKCを0.01、0.1、1、10mg投与して、有効投与量を検討した。 3.RBPおよびFKCの免疫から1、2、4および6週間後に実験感染を行って、効果の持続時間を検討した。 4.RBPおよびRBSの有効性に有意差が認められたことから、両者の構成成分の定量およびOuchterlonyによる抗原性の差異を検討した。 5.RBPおよびFKCの免疫から1、2、4および6週間後の血清の殺菌能、腹腔内滲出細胞(PEC)の集化性、マクロファ-ジ(Mφ)の貪食能および細胞内殺菌能、リンパ球の殺菌能を検討した。 これらの検討を行った結果、RBPは各種抗原のうちで最も効果が高く、16μg RNA以上で有効であった。また、有効性は2週間後に最も高く、4週間後も持続した。RBPの主成分はRNAであり、含まれるLPSの抗原性が保持されていた。RBSはタンパクであり、LPS抗原性は消失していた。RBPは免疫から2週間後にはリンパ球の殺菌能を、4週間後には血清の殺菌能およびMφの貪食能を活性化した。したがって、RBPの主成分のRNAおよび微量に含まれるLPSが有効成分であり、免疫の2週間後に誘導されるリンパ球の殺菌能の亢進が本症に対して有効に作用するものと考えられる。
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