研究課題/領域番号 |
01860026
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産化学
|
研究機関 | 東京水産大学 |
研究代表者 |
渡辺 武 東京水産大学, 水産学部, 教授 (60017051)
|
研究分担者 |
佐藤 秀一 東京水産大学, 水産学部, 講師 (80154053)
岡本 信明 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (40114912)
竹内 俊郎 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (70092591)
磯 直道 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10017080)
山口 勝己 東京大学, 農学部, 教授 (50011896)
|
研究期間 (年度) |
1989 – 1990
|
キーワード | シマアジ / 肉質改善 / スピルリナ / 体色 / 飼料 / γーリノレン酸 / カロテノイド |
研究概要 |
スピルリナに含まれる筋肉の脂質量低減物質の成分を解明すると共に、その適性添加量を定め、実用飼料の開発を目指す目的で実験を行った。まず、スピルリナを添加した配合飼料でシマアジの養成試験を実施し、肉質や食味および色調に及ぼす影響を調べた。スビルリナ5%添加飼料を与えた区では対照区と比べて成長が優れていたのに対し、スピルリナ10%添加区では明らかに劣ること、しかしスピルリナ10%添加区の魚は対照区に比べ筋肉の脂質含量が減少すること、筋肉のエキス成分では対照区と比べてスピルリナ添加区でリジンおよびイノシン酸などが増加することがわかった。食味試験の結果、スピルリナ添加区の採点は全般的に高い傾向にあり、特に、腹肉の旨さは5%水準で有意差が認められた。体色については肉眼にもスピルリナ添加で体側に黄金色の横紋が鮮やかに見られ、カロテノイドを分析したところ、ツナキサンチン、ルテインおよびゼアキサンチンを主成分とする総カロテノイド含量の増加が認められた。さらにいくつかの成分に分画し、有効成分を調べたところ、複合脂質(メタノ-ル)画分の特にγーリノレン酸(18:3nー6、GLA)に筋肉および肝臓の脂質低減効果が認められた。つまりGLAには魚の成長に悪影響を及ぼさずに、筋肉への脂質の蓄積を抑制する効果のあることがわかり、少なくともスピルリナの有効成分の一つであることを突き止める事ができた。以上の飼育実験ならびに体成分の分析を通じて、シマアジの肉質改善には体重750g程度のものの場合、スピルリナ10g/100gを添加した飼料を約60日間程度投与する必要があること、GLAを用いる場合、飼料に100mg/100g程度添加することにより養殖シマアジの筋肉の脂質を低減することができるだけでなく、成長促進も期待されること等が明らかとなり、シマアジに適した実用飼料の開発および良肉質のシマアジの生産の可能性が示唆された。
|