研究分担者 |
中 達雄 農林水産省, 農業工学研究所, 研究員
高橋 悟 東京農工大学, 農学部, 講師 (40120133)
加藤 誠 東京農工大学, 農学部, 助手 (50015096)
安富 六郎 東京農工大学, 大学院連合農学研究科, 教授 (10011892)
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研究概要 |
造成地では造成当初畑面及び法面が不安定であり,降雨に伴い畑面,法面からの侵食から崩壊へと発展する。そして流亡土砂は排水路に堆積し通水能力を低下させ,さらに土砂が地区外へ搬出され,汚濁水となり環境問題となる。本研究は農地保全に関して法面をいかに保全するか,また流亡土砂をいかに制御するかという問題について研究を行った。 試験の方法として試験法面を網走,福島の造成地に設定して調査を行い,他地区における事例調査も行った。渦動排砂管による土砂制御は高知,福島などの現地に布設して,その効果の実証試験を行った。 試験法面においての土壌・水分動態・法面崩壊調査などを行った。その結果,マサ土地帯では地山の上に盛土施工した場合,地山法面に浸透水が集中し,盛土部で含水量が増大して強度低下,崩壊という現象がみられ,ここに何らかの対策が必要であると判断された。 寒冷地で融雪侵食の影響を明らかにすることは,大きい意義がある。この融雪侵食について,網走試験地で埋設した地中地表温度観測システムによって融雪侵食の機構を明らかにするため,現在観測中である。 水利工作物の溢水問題について,造成地で発生する射流の溢水が局所的であり,かつ事前に溢水箇所を特定することが可能なことを明らかにした。この原因(溢水)を理論的に解明した。 渦動排砂管の現地試験地から採取した表土の濁度および沈降特性を実験によって明らかにし,沈砂池等の堆積場における自然沈降による土砂制御の工学的可能性についても明らかにすることができた。 実証試験では,継続的に観測している高知西南地区の排砂率を求めた結果,約60%の効果が実証された。この数値は昨年の室内実験結果とほぼ同等であり,本工法の実用性が立証された。現在また新たに設定した網走試験地については,観測体制を整備し,現在試験中である。
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