研究概要 |
1、ウシ卵胞液中のインヒビンの大量精製法の確立 ウシインヒビンの単クロ-ン抗体(256H,α鎖認識)をアフィゲル10とカップリングさせた。ウシ卵胞液を集め,2リットルのマトレックスレッドAの樹脂に1リットルの卵胞液をかけた。1モル尿素1.2モル塩化カリ溶液で溶出される分画を上記の免疫吸着クロマトにかけた。夾雑蛋白質の殆んどは素通りし,吸着したインヒビン分画を0.1モルグリシン緩衝液PH2.0で溶出した。この段階で既にインヒビンは1000倍以上精製された。さらにゲルロカ,逆相のHPLCによりインヒビンを純化した。1リットるの卵胞液から約2mgのインヒビンを得ることができた。 2、インヒビン抗体の作成 1、で精製したインヒビンをSDS電気泳動により分離し,染色した後にインヒビン分画を切り出しホモジェナイズした。このエマルジョンゲルとフロインド完全アジュバントを混合し,ヤギ三頭とウサギ10匹に免疫した。現在,免疫後1年以上経ち,それぞれの動物の抗体価は1万倍以上となり,RIAやエンザイムノアッセイに用いることができる。 3、特異性の高いインヒビンの測定法の開発 生体内にはインヒビン関連物質が存在する,一つはβ鎖の二量体であるアクチビンであり,もう一つは、α鎖の前駆体である。従って,α鎖とβ鎖に特異的な状体を使用してインヒビンの測定系を開発することが肝要である。2、で作成したウシイヒビンの抗体の認識部位は殆んどα鎖であった。そこでそれらの抗体をウェルにコ-ティングしその後にスタンダ-ドあるいは試料を吸着させた。さらにユウロピウムを標識したβ鎖認識の単クロン抗体を吸着させた。ユウロピウムの蛍光量を測定しインヒビンの定量を行なった。この方法により0.1ナノグラム以下のウシインヒビンの測定が可能となった。
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