研究課題/領域番号 |
01860040
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 迪雄 東京大学, 農学部, 教授 (30011943)
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研究分担者 |
塩田 邦郎 東京大学, 農学部, 助教授 (80196352)
田中 冨久子 (貴邑 富久) 横浜市立大学, 医学部, 教授 (40046066)
林 良博 東京大学, 農学部, 助教授 (90092303)
見上 彪 東京大学, 農学部, 教授 (20091506)
鈴木 直義 東京大, 農学部, 教授 (10003071)
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キーワード | 細胞成長因子 / 初期胚発生停止 / Erythroid differentiation factor / Nerve growth factor / acidic Fbroblast growth factor |
研究概要 |
本研究は、これまで未知であった種々の細胞成長因子の生体に対する効果を、基礎医学・獣医学分野において確立されている各種生体評価系において検索し、それらを有機的に結合して種々の細胞成長因子の医療応用などへの新たな可能性を見いだそうとするものである。本年度はまず当初に計画した各種細胞成長因子の調製・修飾、各研究分担者への配付をおこない、各生体評価系における使用法、投与法等についての試験的検討をおこなった。その結果、いくつかの細胞成長因子の生体に対する効果について以下に述べるような新知見を得た。インビトロでのマウス初期胚発生は、現在用いられている体外受精法では発生の途上で卵分割の停止が見られるが、Erythroid differentiation factorにこの発生停止を解除する効果のあることが発見された。これは、ヒトあるいは家畜における受精卵移植技術の改良に大きく貢献するものである。また、Nerve growth factor(NGF)もしくは抗NGF抗体の第三脳室投与のキンドリング発現に対する遅延効果、中枢神経系へのエストロジェンポジティブフィ-ドバックにおけるNGF依存性神経機序の存在、ならびに、脳内acidic Fibrobalast Growth Factorの摂食応答への関与など、これらの精神医学領域における脳疾患治療薬、あるいは神経支配機構に関与する因子としての可能性が示された。細胞成長因子の投与法に関しては、局所微量投与法を新たに開発し、従来の全身性の投与に比べて約1/100の量で細胞成長因子の生体効果を観察することが可能となった。さらに、ヒドラを用いたバイオアッセイ系を開発し、これまで困難であった細胞成長因子の超微量の定量(100ag〜1ng)が可能となった。このように、本年度は本研究を推進するうえで不可欠な成長因子の投与法・解析法の著しい洗練ならびに、細胞成長因子の新たな生体内効果の発見などの成果を得、次年度へ向けて二次評価系(ある評価系で実証された効果の他の評価系での再検討)を組織するための充分な基盤整備がおこなわれた。
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