研究課題/領域番号 |
01870010
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高折 修二 京都大学, 医学部, 教授 (10025538)
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研究分担者 |
籾山 俊彦 京都大学, 医学部, 助手 (20230055)
石原 熊寿 京都大学, 医学部, 助手 (20212912)
笹 征史 京都大学, 医学部, 助教授 (20025654)
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キーワード | 神経細胞電気信号 / 電気信号解析用ソフトウェア / パッチクランプ法 / 副腎髓質クロマフィン細胞 / ムスカリン性受容体 / カリウムイオンチャンネル / 尾状核 / ド-パミンDー2受容体 |
研究概要 |
昨年度以来開発した電気生理実験装置から電気信号の監視用ソフトウエア及び学習機能を備えた自動解析ソフトウェアに、さらに生理的な信号とノイズの多い信号パタ-ンを区別するプログラムを作製することにより、これまでのコンピュ-タ-システムに取り込まれた自動解析システムに改良を加えた。このシステムを用いまずラット副腎髓質クロマクイン細胞においてムスカリン性興奮を惹起するイオン機構を明らかにするためパッチクランプによる研究を行った。高カリウム溶液を含む電極を用いて細胞アタッチによる記録にて短い開口を伴う連続した単一チャンネル電流が、静止膜電位近くの電位で記録された。チャンネル開口の振幅及び頻度は静止膜電位及び外液のカリウムイオン濃度に依存した。インサイドアウト記録の間、膜の外側に高カリウムイオンを与えて観察された単一チャンネル電流は、膜の内側にカリウムチャンネル遮断薬であるテトラエチルアンモニウムを加えることによって抑制された。一方、細胞アタッチ記録において、細胞外に与えたムスカリンにより高力リウムイオンにより誘発されるカリウムチャンネルの開口が用量依存性に抑制された。これらの成績はムスカリンによるカリウムイオン電流の抑制が静止膜電位での活性カリウムイオンチャンネル数の減少に起因していることを示した。次に、大脳皮質運動領に対するテスト刺激に先行しして黒質に与えた条件刺激は51個の尾状核ニュ-ロンのうち39個においてスパイクを抑制した。ド-パミンと選択的Dー2作用薬は、イオン泳動的に与えたこのスパイク発生を抑制した。これらの抑制作用はDー2拮抗薬であるドンペリドン及びハロペリド-ルによって拮抗された。これらの結果は黒質から由来するド-パミンは大脳皮質運動領からの神経終末に存在するDー2受容体に作用し、それによって大脳皮質ー尾状核の間の神経伝達を抑制することを明らかにした。
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