研究概要 |
平成元年度の研究で、骨吸収に破骨細胞のシステインプロテア-ゼ(カテプシンB,H,L)が関与していることを、低カルシウム食餌性の実験的骨粗鬆症ラットを使った実験で推定した。そこでこのカルシウム遊離の原因となる、骨支持蛋白質の分解に関与するシステインプロテア-ゼが、カテプシンB,H,Lのいずれであるか特定すべく、カテプシンB,H,Lの分解が可能な、新しい特異的阻害剤(Eー64誘導体)の開発を試み、カテプシンBの阻害に特意的な誘導体の開発に成功した。 この新しいEー64誘導体(CAー074)は8mg/100g body weight腹腔内投与によって、低カルシウム食餌性の実験的骨粗鬆症ラットの大腿骨抽出物体及び肝中カテプシンB活性を充分に抑制するが、H,L活性には全く影響を与えない。又この条件下での血中カルシウムレベルは、全く低下がみられなかった。対照群として、カテプシンB,H,Lをよく阻害するEー64aを4〜8mg/100g body weight腹腔内投与した場合、大腿骨抽出物及び肝中B,H,L活性の著明な抑制、血中カルシウムレベルの低下が認められた。これらの結果は、骨吸収にはカテプシンB以外のシステインプロテア-ゼ、特にコラ-ゲン分解活性の強いカテプシンLの関与が考えられ、その作用機構の解明と、特異的な阻害剤の開発を進めている。
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