研究概要 |
細菌感染症の原因菌の同定は、現在のところ、検査材料を培養することにより原因菌を分離し、分離菌の生化学的性状を調べることによって行われている。この方法に要する時間は最低でも20〜30時間、長い場合には72時間以上が必要である。本研究においては、細菌感染症原因菌のポリクロ-ナル抗体またはモノクロ-ナル抗体を用い、すでにわれわれが開発している細菌毒素の高感度ELISA法に準じた試薬を調製し、病原菌検出用の高感度ELISAの開発を試みた。通常、例えば下痢便中には原因となる病原菌が少なくとも10^6個/ml含まれていると考えられるので、ELISA系で反応さすために材料を10^3倍希釈することが必要であるとしても、10^3個/mlの菌が検出可能な高感度ELISAを開発することにより、検査材料中から直接原因菌を迅速に同定することができる。従って本研究においては、検査材料中から直接原因菌が同定可能な感度、すなわち10^3個/mlを目的とした反応系の開発を行い、これを実用化するための条件設定を目指した。 今年度は、すでに前年度に調製した<Shigella>___ー <dysenteriae>___ー,S__ー.<flexneteriae>___ー,S__ー.<sonnei>___ー,<Vibrio>___ー <sholerae>___ー,V__ー.<parahaemolyticus>___ーの全菌に対するポリクロ-ナル抗体に加えて<Campylobacter>___ー <jejuni>___ーの全菌に対するポリクロ-ナル抗体を調製し、それぞれの抗体からFab'を分離精製し、マレイミド法により西洋わさびペルオキシダ-ゼ(HRP)と約1:1の比で結合させ、beadーELISA法により各々の菌に対する感度が10^3個/ml以上であることを確認し、さらにそれぞれの特異性を確認した。
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