研究課題/領域番号 |
01870021
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅村 和夫 東北大学, 医学部, 教授 (20117360)
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研究分担者 |
白石 広行 宮城県保健環境センター, 主任研究員
岡村 州博 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (90124560)
佐々木 毅 東北大学, 医学部附属病院, 助教授 (50110656)
中村 正孝 東北大学, 医学部, 講師 (30180392)
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キーワード | パルボウイルス / 非免疫性胎児水腫 / 関節リウマチ / 血清診断 |
研究概要 |
昨年度調査したヒトパルボウイルス(HPV/B19)血清診断用ELISAキットはIgM抗体検出用としては利用可能であったが、IgG抗体検出には非特異的反応が強くて利用し得ないことが分った。そこで本年度は組換えHPV/B19 VP-1抗原を新たに調整した。VP-1抗原単独では可溶化し難いことが分っているので、今回はVP-1遺伝子と大腸菌由来グルタチオンSトランスフェラ-ゼ遺伝子を融合遺伝子として発現ベクタ-(pGEX-2T)に組み込み、大腸菌で融合蛋白を産生させ、これをVP-1抗原とした。菌体を可溶化し、融合蛋白を部分精製した。これらをVP-1抗原としたELISAキットを作成したが、まだIgG抗体検出には不適当であった。このVP-1抗原を用いてウエスタンブロットを行ったところ、IgMならびにIgG抗体を特異的に検出し得ることが分った。このウエスタンブロットキットを用いてHPV/B19感染が疑われている慢性関節リウマチならびに関節症状を伴う患者血清、さらに非免疫性胎児水腫を伴う妊婦血清についてのHPV/B19抗体を検索した。その結果、早期関節リウマチ患者18例中6例においてIgM抗体が検出され、これら疾患とHPV/B19初感染との因果関係が示唆された。他方、非免疫性胎児水腫患者の母親17名中5名にIgM,IgG両抗体陽性、3名にIgG抗体陽性でその中の1名にHPV/B19DNAが検出された。これらの結果から、非免疫性胎児水腫の少なくとも1/3にHPV/B19初感染が示唆され、同疾患とHPV/B19との因果関係が強く疑われた。今後、より簡便なELISAキットを開発するためにVP-1抗原の精製方法を検討する必要がある。
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