研究課題/領域番号 |
01870024
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
保井 孝太郎 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物, 副参事研究員 (90073080)
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研究分担者 |
小島 朝人 国立予防衛生研究所, 病理部, 室長 (30100077)
松浦 善治 国立予防衛生研究所, 獣疫部, 厚生技官 (50157252)
宮本 道子 東京都神経科学総合研究所, 微生物, 主事研究員 (40190821)
荻本 真美 東京都神経科学総合研究所, 微生物, 主事研究員 (80158609)
木村 純子 東京都神経科学総合研究所, 微生物, 主任研究員 (20142151)
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キーワード | 日本脳炎ウィルス / 組換えバキュロウィルス / 組換えワクチニアウィルス / フラビウィルス / 新型ワクチン |
研究概要 |
日本脳炎ウィルスが属するフラビウィルスは、世界中に70種にのぼるウィルス種が存在しており、ヒトや家蓄等に病気を起こすことから、有効な防御対策が待たれている。近年のバイオテクノロジ-の急速な発展は、特定蛋白の大量生産や分子構造操作を通じて新型ワクチンの開発を可能にしてきた。このような背景をふまえて、遺伝子組換え技術を用いて、感染防御抗原遺伝子を組み込んだ組換えウィルスを作成して、日本脳炎ウィルスおよびデングウィルスの新しい人エコンポ-ネントワクチンおよび生ウィルスワクチンと診断試薬の開発をはかり、他のフラビウィルスに対する同様の開発の基礎となる技術的、方法論的知見を提供することを目的として本研究を行なった。 日本脳炎ウィルス遺伝子cDNAの5′未より、C、preM、E、NS1、ns2a、ns2b、NS3、各蛋白遺伝子を種々の程度に含む組換えバキュロおよびワクチニアウィルスを作成して、それぞれの蛋白を発現させ、その抗原性、分子サイズ等について調べた。その結果、各蛋白のプロセミングと抗原性の発現との間には密接な関係があり、日本脳炎ウィルスの蛋白は、正常にプロセスされることによってその立体構造が形成され、生物活性のある蛋白が完成することが明らかになった。このような結果に基ずいて作成した、E蛋白遺伝子を含む組換えバキュロウィルスの発現した産物で免疫した動物は、日本脳炎ウィルスに対する中和抗体を産生した。また同様の遺伝子を含む組換えワクチニアウィルスは、マウスに免疫した場合、中和抗体を産生させるのみならず、特に強いプライミング効果を与えることができた。これらの結果から、日本脳炎ウィルス遺伝子組換えワクチニアウィルスは、単独もしくは組換えバキュロウィルス発現産物と組み合わせて用いることにより、ワクチンとして有望と考えられた。
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