研究課題/領域番号 |
01870036
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
房本 英之 大阪大学, 医学部, 講師 (90124776)
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研究分担者 |
片山 和宏 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
佐々木 裕 大阪大学, 医学部, 助手
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部, 助手 (70214286)
林 紀夫 大阪大学, 医学部, 講師 (00144478)
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キーワード | 遺伝子発現 / プロトオンコジ-ン / DNA / PKC |
研究概要 |
肝組織での遺伝子発現の遍在性を検討するために,in situ hybridyzation法を開発し、四塩化炭素障害肝の再生過程におけるプロトオンコジ-ンやprotein kinase C(PKC)の発現を組織レベルで検討した。正常肝ではcーmyc、cーHaーras遺伝子発現細胞は少数観察されるのみであった。マウスに四塩化炭素投与による肝障害を作成し、その再生過程における発現動態を検討すると、cーmyc遺伝子発現は四塩化炭素投与6時間から小葉中心域で増強し、投与後12時間に明らかな小葉偏在性をもって発現細胞数は最大となり、以後減少した。一方、cーHaーras遺伝子発現は投与後12時間から小葉中心域で増強し、投与後24ー36時間で同様に小葉遍在性を伴い発現細胞数は最大となった。これら発現細胞は小葉中心域に観察される壊死巣、脂肪変性の周辺に多く観察された。また、cーmycやcーHaーrasの発現は肝実質細胞のみならず非実質細胞にも観察された。このように、in situ hybridyzationを用いることでプロトオンコジ-ンの小葉内遍在性をもった発現動態が明らかになったが、さらに、肝再生過程に於てPKCの発現亢進をもたらす因子を同定する目的で、培養肝細胞を用いて種々の因子のPKC発現におよぼす影響を検討した。四塩化炭素投与後12時間のラット血清で分離肝細胞を12時間培養すると、正常ラット血清や牛胎児血清で同様に処理した肝細胞に比べて、PKCαの発現が極めて強く観察された。以上より、肝再生におけるPKCの発現、DNA合成との時間的部位的関連を考慮に入れると、肝再生因子の情報がそのレセプタ-を介してPKCを活性化し、その情報が核に伝えられてプロトオンコジ-ンの発現を引き起こし、その結果DNA合成が亢進すると考えられた。
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