研究概要 |
従来、我々は肺小細胞癌に出するモノクロ-ナル抗体に ^<131>Iを標識しこの抗体の免疫シンチグラフィ-での有用性及び抗腫瘍性を検討してきた。又、抗体に ^<99m>Tcを結合し、この抗体を用いて肺小細胞癌患者のイムノシンチグラフィ-を試み、その画像診断における有用性を明らかにした。本年度はこの抗体に ^<131>Iを結合させ、肺癌患者に投与し肺小細胞癌の ^<131>I標識抗体による治療に使用することを目的にその安全性と実用性を検討した。対象は各種組織型の肺癌患者で、患者には甲状腺の被爆を予防するため、あらかじめ600mg/dayのヨ-ドカリを10日間服用させた。精製したモノクロ-ナル抗体を ^<131>Iで標識し、抗体はヒトアルブミンを含んだバッファ-に溶解した。標識した抗体はミリポアフィルタ-で滅菌し、5mCiの ^<131>I標識モノクロ-ナル抗体(Specific activity 3mCi/mg protein)を静脈内投与した。1,4,7日後ガンマシンチカメラで全身を撮影した。抗体はヒト肺癌に対するマウスモノクロ-ナル抗体であるが、特別な副作用は認められなかった。又、ガンマシンチグラフィ-では良質な腫瘍画像を描出し、効率よく腫瘍細胞に結合していると考えられ、これらの結果より ^<131>I標識モノクロ-ナル抗体はヒトの肺癌のミサイル療法に使用可能と思われる。しかし、マウスでの ^<131>I標識抗体の有効投与量は300μCiであることから、ヒトでは500mCi程度の投与が必要となると推定される。大量の ^<131>I標識抗体の投与は重篤な骨髄障害を引き起こすと考えられるため骨髄移植の併用や、又血中の不用な抗体を血漿交換などで早期に除去するなどの技術的問題を克服する必要があると考えられる。
|