1.モノクロ-ナル抗体による画像診断 イメ-ジングの期間を短縮するために抗体をFab'に切断し、これにテクネシウム99mを標識した。テクネシウム標識モノクロ-ナル抗体をヒトに投与した場合、24時間以内に血中クリアランスは5%以下となり、主に腎で排泄された。これを用いて、ヒトの肺小細胞癌患者の癌病巣の画像診断を行ったところ、約90%の病巣が検出可能であった。又、新たにこの方法で発見される病巣も5ー10%あった。我々は更に100名の肺小細胞癌患者について画像診断を行ったところ、この方法により未治療の肺小細胞癌患者のステ-ジングが可能であった。 2.キメラ抗体による肺小細胞癌の治療 ^<131>Iで標識したモノクロ-ナル抗体を用いて、ヌ-ドマウス移植ヒト肺小細胞癌の治療を行った。その結果、300μCi以上の ^<131>I標識抗体の投与により、腫瘍の増殖抑制および縮小効果が得られた。この結果をヒトに応用するために ^<131>I標識モノクロ-ナル抗体の肺癌患者への投与を行った。ガンマ-シンチグラフィ-によりヒトにおいても腫瘍部位に ^<131>I標識抗体の集積が確認された。今後、 ^<131>I標識抗体の投与量を増大する予定である。又、ヒトマウスキメラ抗体を作成し、テクネシウムと同様の構造をもつβーemitterであるレニウムを標識し、ヒト肺小細胞癌患者の治療を行ったが、100mCiまででは効果は認められなかった。抗体の結合量を増やすために、Tはとー2の認識する抗原蛋白およびcDNAを分離し、新しく異なるエピト-プ対する抗体の作成を行った。これら同一の抗原蛋白に対する多種の抗体に ^<131>Iやレニウムを標識することにより腫瘍局所へeffective doseの大量の放射線照射が可能と考えられる。
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