研究概要 |
「研究目的」虚血性心疾患の診断に際し、虚血病変の範囲とその程度とを非観血的無侵襲的に検出評価する方法を実現することを目的として本研究を実施した。「平成2年度研究経過と成果」平成2年度では前年度の研究成果を基礎として以下の研究を実施した。(1)前年度に試作した「心筋機能画像表示システム」の改良試作;前年度に実施したシステムの基本原理は超音波ビ-ム軸上の近接2点間の運動速度差から心筋組織の太さ変化に伴う微細変動を定量的に把える方法であった。この方法では現象の変動が激しく記録図形は点状像となり判断が難かしくなった。そこで本年度この方式を再検討しi)速度デ-タ間の移動平均をとって特徴表示をする。ii)各組織部分における変位量の差を求めることによって伸縮性を評価する。の2方法を考案した。ついで試作システムの位相,振幅情報処理部の改良を実施した。(2)微細変動検出実験用模擬反射体の考案と試作研究;一辺が1mm以下の網目状構造モデルとして海線組織を基機とし、外力によって0.5mm以下の寸法変動を与えることのできる構造のファントムを試作して試用し、システムの性能を検討した。その結果充分な性能をもつことを実証し得た。(3)試作せる改良システムによる臨床試験;本システムの改良終了後若干の臨床例を対象として試用した結果,前年度の結果と比べ画質の改善が確認され、心筋機能の評価が可能であることが確認された。。「研究成果に対する考察」これらの結果から本年度の研究により実現した新方式により非観血的に心筋虚血の評価ができる可能性が示された。しかし実用機としては操作性等に尚改良を要する点があり、臨床的にも動物実験,臨床例の蓄績により本方法の評価と改良とを続けることが必要と判断され、次年度以降も引き続き研究を実施する予定である。
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