1.測定中における培養環境の恒常性維持のための基礎的検討 ホロ-ファイバ-培養法を用いたNMRによる培養細胞の研究のためには、NMRプロ-ブの局所における細胞外環境を一定に保つことが測定中の細胞の細胞内環境を一定に保つために必要である。しかし従来の5%CO_2条件下での培養法では潅流培養装置を用いて測定中も同様の細胞外環境を保つことは困難である。そのために我々はCO_2を必要とせず通常のroom airのガス分圧下において培養可能な特殊な培養液を用い、ヒト神経芽腫細胞株を材料としてフラスコ内で細胞の成育状態につき検討してきた。その結果フラスコ内においては本細胞株はCO_2非投与下にても充分培養可能なことが明らかとなった。しかし当条件下にて従来の培養法と同様の細胞機能が保たれているかどうかは今後の検討を要する。 2.培養細胞のNMRスペクトル観測のための基礎的検討 フラスコ内で通常の条件下で培養したヒト神経芽腫細胞を用い、トリプシンを用いてharvestした約1×10^7〜1×10^8個の細胞をroomair下において培養液中に浮遊させ、高分解能NMR装置を用いて31P-NMRスペクトルを観測した。その結果スペクトルは観測可能であるが約10分〜数10分の積算時間を必要とし、さらに数10分後より急速なATPの減少を認め細胞の生存率の低下することが明らかとなった。また生細胞と同様に細胞抽出液についても31P-NMRスペクトルを観測し、リン脂質組成や無機リン/ATP比につき検討した。 3.ホロ-ファイバ-による細胞培養 現在セルマスタ-潅流培養システムを用い、上記細胞のホロ-ファイバ-による培養を行っている。
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