研究概要 |
培養液WRC935による細胞培養についての検討:WRC935(37℃ room air,10%牛胎児血清含む)培養での、ヒト及びマウス神経芽腫細胞(NB)株,ラットメサンギウム細胞(MC)株の増殖は、従来の培養液PRMI1640(5%CO_2)と同様の傾向であった。またWRC935培養での分化誘導剤によるヒトNB株の形態学的分化は、RPMI1640と同様の傾向であった。以上よりWRC935の培養条件下では、従来の培養条件下での細胞増殖,分化などの機能が再現されることが示された。 ホロ-ファイバ-(HF)による高密度細胞培養についての検討:HF内にマウスNB株C1300を1x10^8個を注入し、WRC935を30ml/分で潅流し14日間培養した。37℃に保ちながら ^<31>PーMRSを測定した。αβγーATPと無機リンと考えられる4本のピ-クを認めた。他のピ-クは信号レベルが低く不明瞭であった。測定には約50分を要した。HF式培養方法により測定中も細胞内外の培養環境の恒常性を維持しつつ、MRS測定可能な細胞密度が得られたことが示された。 HF式培養方法の問題点についての検討:長期間の培養のために培養液潅流ポンプのチュ-ブが破損し液漏れが生じたこと、HF内に空気が貯留したために細胞が増殖しなかったことなどが問題となった。以上については耐久性の高いポンプとチュ-ブに変更し、潅流圧を高めることによりHF内の空気貯留を防ぐことが可能となった。以上を克服してもNBのある株やMC株は、HFでは十分な細胞密度が得られなかった。 今後の展望:明瞭なMRSが短時間で測定可能な細胞密度を得るために、HF式培養方法に適したヒトNB株を選択し培養中である。得られた ^<31>PーMRSにより、エネルギ-代謝,細胞膜リン脂質代謝についての検討、および各種生理活性物質によるそれらの変化についての検討を行なう予定である。
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