研究課題/領域番号 |
01870051
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 徳島大学 (1990-1991) 筑波大学 (1989) |
研究代表者 |
板倉 光夫 徳島大学, 医学部, 教授 (60134227)
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研究分担者 |
中内 啓光 理化学研究所, 国際フロンティア研究システム クロモゾーム研究チーム, 研究員 (40175485)
長田 明彦 住友製薬株式会社, 研究所, 研究員
岩花 弘之 徳島大学, 医学部, 助手
吉本 勝彦 徳島大学, 医学部, 助教授 (90201863)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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キーワード | 遺伝子治療 / トランスカリョ-ティック法 / 糖尿病 / 線維芽細胞 / プロインスリン / メタロチオネインプロモ-タ- / 表面抗原 / モノクロ-ナル抗体 |
研究概要 |
全研究期間を通じて、遺伝子を導入した体細胞を移植するトランスカリヨ-ティック法による遺伝子治療の原理を開発を試みた。具体的に用いた方法は、最初にメタロチオネインプロモ-タ-の下流にヒトインスリンcDNAを組換えたDNAを培養L細胞に導入し、プロインスリン発現株をクロ-ン化した。次にT細胞の表面抗原CD8.2geneをこの株に重複導入し、強発現細胞をFACSでクロ-ン化した。C3H系7週令雌マウスをSTZ投与で糖尿病とし、2x10^6個の導入細胞を腹腔内移植した。移植細胞を完全に除去する安全装置を開発するために、移植14日後より14日間連日抗CD8.2モノクロ-ナル抗体を腹腔内に投与し、移植細胞の除去を試みた。この実験の結果、クロ-ン化した遺伝子導入株は3.4x10^<ー6>ng/hr/cellのプロインスリンを産生し、培養2カ月後も同等の産生量を維持した。本株を糖尿病マウスの腹腔内に移植することにより、血糖値は移植前値の430mg/dlより、30日後には80mg/dlへと低下し、移植後40以降マウスは細胞の腫瘍性増殖に伴うプロインスリン過剰による低血糖により死亡した。一方、移植14日以降、抗CD8.2抗体を連日腹腔内投与したところ、投与後3日で血糖値は上昇し、抗体投与中止60日以降おいても血糖値は高植で、移植細胞は免疫学的に除去され、免疫学的な安全装置の原理が確立された。これらの実験により、ヒトのプロインスリンを合成分泌する線維芽細胞を用いる糖尿病の体細胞遺伝子治療の動物モデルを作製し得たと同時に移植細胞を完全に除去できる免疫学的な安全装置を開発し得た。この成果に基づき、今後、単純ヘルペスウィルスのチミジンキナ-ゼ遺伝子を予め導入し、抗ウイルス剤の投与により移植細胞を選択的に除去するより応用性の高い安全装置の開発と血糖値依存性のインスリン遺伝子の発現機構の解明に関する基礎的な検討に基づき血糖値依存性のインスリン分泌能を有する体細胞遺伝子治療法の開発を目指す。
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