研究課題/領域番号 |
01870062
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
平川 公義 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (00010166)
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研究分担者 |
加藤 大典 電子技術総合研究所, 光技術部, 主任研究官
大野 喜久郎 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50014238)
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キーワード | Photoradiation / brain tumor / argon laser |
研究概要 |
当教室で行なわれた原発性悪性脳腫瘍に対する光化学療法の内訳は、再発例3例、初発例1例の計4例である。これらに対して、予め手術に先だってhematoporphyrine2.5mg/kgを2-3分で静注し、腫瘍組織と正常組織との薬剤濃度比が最も高くなる48ないし72時間後に手術を行ない、腫瘍を通常の手段で出来るだけ除去した後に生じた死腔壁に対して、Argon laserの514.5nmの波長(グリ-ン)を用いて、1方向は約3-5cmの距離から径20mmの範囲に、0.5W、10分間、光照射を行ない、これを全周に及ぼすべく、6ないし10回、方向を変えて照射を繰り返した。術後、CT計測上、腫瘍生長の倍加時間は延長することが確認された。しかし、本治療を行なって後、次に再び手術を行なうか、考慮するか迄の期間は、初発例で33週、再発例で25週であり、1例は65週現在生存中、1例は48週で死亡した。この成績は、従来の統計による対照症例の生存期間に比して、有意差をもって延長したとは云い難かった。手術時に得られた腫瘍組織に光照射の影響があるかどうか病理学的に検討した結果、光顕的には、腫瘍の細胞構築の破壊、間質浮腫、毛細血管の膨化、核内構造の不明瞭化などの所見が得られた。1例では、腫瘍周辺に被膜形成があり、1例では術後3日目に出血性梗塞を合併した。 その後、新型の水冷式アルゴンレ-ザ-・モデル150specialの導入があった。しかし、本機器の導入以来、偶、光照射に適当な症例がなく、現在に至っている。一方、新機種の導入がやや遅れたため、基礎的実験的検討はやや遅れて開始された。ヒトないしは小動物のglioblastomaの培養細胞を用いて、定量的な効果判定が出来るか否か、検討中である。
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