間接鏡像の画像処理による鮮明化と定量化に関する研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01870066
• 研究種目: 試験研究
• 研究機関: 名古屋市立大学
• 研究代表者: 松井 宣夫 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (40009569)
• 研究分担者: 吉田 行雄 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (00220624) ; 藤吉 文規 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (60173481) ; 伊藤 貴 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (90151513)
• キーワード: 関節鏡 / 関節軟骨 / 変性 / 画像処理 / 極小関節鏡 / 定量的評価

研究概要

昭和61年度から昭和63年度に文部省科学研究費補助金により開発した極小関節鏡を使用して平成元年度に行った局所麻酔下外来関節鏡検査は100症例102関節でその内訳は膝関節84、足関節4、肩関節4、肘関節4、手関節1、指関節5であった。また従来からある直径4.0mmおよび4.9mmの関節鏡を使用して93症例、98関節、膝関節51、股関節29、肩関節11、足関節3、肘関節4、の関節鏡視を行った。これらの鏡視画像を利用して平成元年度の研究は、関節鏡軟骨変性度測定システムの開発を行なった。変性度測定システムは下記の装置より構成されている。
(1)関節鏡VIDEOカメラシステム(2)VIDEOデジタイザ-(3)VIDEOフロッピ-ディスク(4)パ-ソナルコンピュ-タ-(5)光ディスク装置
関節鏡カメラよりのVIDEO信号をVIDEOデジタイザ-へ取込み数値化する。これをパ-ソナルコンピュ-タ-に取込み光ディスク装置に保存する。この時、同時に2カ所で関節鏡検査を行なう場合などVIDEOデジタイザ-を利用できない場合には、VIDEOフロッピ-ディスクに一旦VIDEOの信号を保存した上で取込むようになっている。保存された関節鏡像は後に関節軟骨変性度の測定を行なうことができる。
関節軟骨の変性度は軟骨表面の微細な凹凸による画像値の変化を利用し測定する。すなわちコンピュ-タ-ディスクプレイに表示された画像より測定対象となる部分をマウスを用いて指定し、その部位の画像値に高域通過フィルタ-を施し画像のエネルギ-を直接法で計測する。この様にして計測された変性度指標を、関節鏡検査に常時携わっている医師の変性度の評価と比較したところ高く相関していることが明らかになった。この内容は第4回日本整形外科学会基礎学術集会にて発表した。

研究成果

• [文献書誌] N.Matsui,T.Itoh et al.: "Arthroscopic versus open synovectomy in the rheumatoid knee" International Orthopaedics. 13. 17-20 (1989)
• [文献書誌] 松井宣夫,他: "骨・関節病変の診断手技" 臨床免疫. 21. 250-26 (1989)
• [文献書誌] 井口普敬,松井宣夫,伊藤貴,他: "コンピュ-タ-画像処理による軟骨関節鏡像の変性度の定量的評価法の開発(第一報)" 日本整形外科学会誌. 63. S1201 (1989)
• [文献書誌] 井口普敬,松井宣夫,伊藤貴,他: "変形性膝関節症の関節鏡像に対するコンピュ-タ-画像処理の試み(第二報)" 中部日本整形災害外科学会誌. 32. 2249-2250 (1989)
• [文献書誌] 井口普敬,松井宣夫,他: "パ-ソナルコンピュ-タによる整形外科領域用有限要素解析支援システムの開発と応用" 関節外科. 8. 1715-1720 (1989)
• [文献書誌] 伊藤貴,松井宣夫,吉田行雄,井口普敬,他: "関節鏡におけるハ-ドコピ-システムの応用" 関節鏡. 14. 181-185 (1989)