研究概要 |
前年度までの研究で光励起半導体の1つとしてTi0_2(酸化チタン)を選び、その微粒子の作製に成功し,その光化学反応によりin vitroで膀胱癌をはじめとするヒト癌細胞に対して殺細胞効果が得られる結果を得た。はたその効果の作用機序を明らかにしてきた。本年度はこれにつづいて、 1.光励起半導体の光照射時にのみ得られる殺細胞効果と、細胞内Ca^<2+>イオンの変動との間係について検討した。その結果、あらかじめTiO_2細胞表面に存在すると光照射時にのみ,細胞内Ca^<2+>イオンが2相性に上昇し,その後に細胞が死滅することがわかり,光化学反応により細胞膜のCa^<2+>イオンの流入出にかかわるポンプ機構への作用の可能性が示唆された。 2、半導体微粒子をより効果的に腫瘍に集めるためにキャリアとなる物質としてヘマトポルフィリンを選び、これとの結合体の合成を試み、シアンガプリング法によりTiO_2とヘマトポルフィリンの結合に成功した。この結合体は、細胞内によく取り込まれ、また細胞内への移動の状況がよく追跡できた。 3.ヒト癌治者への応用のために各種ヒト癌のヌ-ドマウス移植株に対する in vivoでの効果の検討を開始し、Preliminaryに抗腫瘍効果を得る結果を得ている。 これらの結果,国際癌学会,日本必尿器科学会,日本化学会等で発表した。
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