研究概要 |
研究の最終年度として下Rの研究を隊行し研究実積を得た。 1.実験動物を用いて、in vivoでの光励起半導体TiO_2微粒子の効果を検討した。HeLa(ヒト子宮頸癌由来)、T-24(ヒト膀胱癌由来)、HMV-1(ヒト悪性黒色腫由来)細胞をヌードマウスに移植し、腫瘍を形成させ、TiO_2処理と光照射の実験を行った。この結果、TiO_2単独や光照射単独(300〜400mm)では効果がなかったが、TiO_2と光照射の両者を処置すると顕著な抗腫瘍効果が認められ、予期した理論通りの効果が得られた。この結果は、本研究で検討した光励起半導体の一つのTiO_2微粒子が充分に癌治療へ応用可能であることを示唆するものである。 2.光励起半導体TiO_2の光照射時の効果を高める可能性のある生体酵素であるSODの添加効果をin vitroで検討した。SODは水溶液中のTiO_2粉末が光照射されると生成されるO_2 ^-を、より反応性の高いH_2O_2に変換することが予測された。実際にH_2O_2の生成量を測定するとSODの添加により、光照射後の溶液中のH_2O_2の濃度は約3倍に増加することが明らかとなった。 今までの研究の成果と合わせると、光励起半導体TiO_2が光照射により、ヒト癌佃胞を殺す効果がin vitro,in vivoで明らかとなり、さらにその作用機序も明らかとなった。これらより、この光励起半導体微粒子と光の組み合せが充分、ヒト癌の治療、特に膀胱癌、皮フ癌子宮癌などの光照射が可能な部位の癌に応用できると考えられた。これらの成果は、Cancer Res,Chemistry Letter等の論文で発表された。
|