研究概要 |
マウトとヒトの単一卵と単一初期胚について以下の研究を行った.1)人工受精の際の除剰卵(intact germinal vesicle stage,243±34ng乾燥重量,10個の平均±SD)のhexokinase活性は17.9±3.6pmol/卵/時であり,マウスの胞胚とほぼ同じ活性値を示した.乾燥重量当りの比活性はマウスの8.9%(乾燥重量は9.6倍)であるので,今後ヒトの胚を分析する時は,マウスの時の1/10の感度で十分である.2) ^<18>FーDG取り込みの予備実験として, ^3HーGDの単一マウス卵による取り込みを検討した.25mM ^3HーDG(17Ci/mmol)でmolified BWW培養液(4μ1)のglucoseを置き換えて胚一個を培養する系を確立した.一時間の培養による取り込みは2ーcell stageの単一胚(165±104cpm,または7.72±4.86fmol,卵6〜10個の平均±SD以下同じ),4ーcell(232±227,10.±10.6),8ーcell(700±241,33.0±11.4),morula(1845±1703,87.0±80.3),blastocyst(7463±5672,351±267)となり,胚の発育に伴って急激に増加した.この取り込みは昨年度に明らかにした様にDG+deoxyglucose 6ーphosphateの量を表しているが, ^<18>FーDGを用いる時の技術を確立し基礎デ-タが得られた. ^<18>FーDGは未だ利用が許されない状態なので,次年度に延期した.3)マウスの単一卵・胚20〜30個を35nM ^<125>IーEGF(410000dpm)を含む5μ1のmodified BWW培養液中で2時間培養し,細胞膜の受容体に結合したEGFとinternalizeされたEGFの総和を計測効率84%でγ線測定する系を確立した.一個の卵・胚に対するEGFの特異的結合は,未受精卵(38amol,以下同じ)から1ーcell(478),2ーcell(552),4ーcell(440),8ーcell(737),morula(953)へと増加した.これらの結果は,EGFが初期胚の発育分化の過程で重要な役割を果たしていることを意味する.
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