研究分担者 |
池田 通 昭和大学, 歯学部, 助手 (00211029)
高橋 直之 昭和大学, 歯学部, 講師 (90119222)
佐々木 崇寿 昭和大学, 歯学部, 助教授 (50129839)
角田 左武郎 昭和大学, 歯学部, 助教授 (40112726)
山口 朗 昭和大学, 歯学部, 助教授 (00142430)
|
研究概要 |
本研究では独自にいくつかの骨芽細胞様細胞株を樹立し、それらを応用して骨芽細胞の性状と分化過程を解析できる実験系を確立することを目的とし、種々の実験を行い、以下の結果を得た。 1.骨芽細胞様細胞株の樹立と性状の解析 1)ラット頭蓋冠由来細胞株:1日齢ラット頭蓋冠より5種類のクロ-ン化細胞株(ROBーC8a, C11, C20 C23,C26)を樹立した。各々の細胞株の性状を解析した結果、C11, C20, C23細胞はより成熟した骨芽細胞様細胞で、C26細胞はより味熟な骨芽細胞様細胞と考えられた。また、C8a細胞の分化程度は両者細胞群の中間に位置すると考えられた。興味あることに、C26細胞は細芽細胞以外に筋細胞、脂肪細胞への分化能も持っていたため、未分化間葉系細胞から骨芽細胞、筋細胞、骨髄脂肪細胞への分化過程を検索するのに有用な細胞株であることが明かとなった。 2)ヒト骨肉腫由来細胞株:ヒト骨肉腫より2種類のクロ-ン化細胞株(YRー2, YRー6)を樹立し、それらの表現形質をすでに樹立されているヒト骨肉腫細胞株(HOS, SAOSー2, Mg63)の性状と比較した。その結果、各細胞株の表現形質は多様であったため、ヒト骨肉腫細胞を用いて骨芽細胞の研究を行う場合には、各々の細胞株の性状を充分把握しておくことが重要であると考えられた。 2.骨芽細胞の分化調節機構の解析 骨芽細胞の分化過程で骨誘導因子(BMP)とレチノイン酸が重要であることを明らかにした。 1)味熟な骨芽細胞様細胞であるC26にrecombinant human BMPー2(rhBMPー2:Genetics Institute社のWozney博士より供与)を添加すると、C26細胞における骨芽細胞の表現形質が強力に促進され、筋細胞への分化が抑制されることを明らかにした。また、rhBMPー2はマウス胎児由来の線維芽細胞であるC3H10T1/2 細胞も骨芽細胞へ分化させることも明らかとなったため、rhBMPー2は未分化間葉系細胞から骨芽細胞への分化過程で重要な役割を担っていると考えられた。 2)レチノイン酸はC26細胞のALP活性とPTH応答性を促進し、筋細胞、脂肪細胞への分化を抑制した。そのためレチノイン酸は未分化間葉系細胞から骨芽細胞、骨髄脂肪細胞への分化の振り分けの過程で重要な役割をしていることが示唆された。
|