研究概要 |
本申請研究は、硬組織における化骨分化系でのリン酸基の動態の究明、正常及び癌化細胞で広く作動しているタンパク質リン酸化・脱リン酸化サイクルによる増殖調節系の究明などのために、微量なリン酸基の変動を迅速でしかも自動的に測定できる装置を開発することを目的としている。本装置は、基本的には、申請者などがすでに開発してきている全自動型微量ストップトフロ-・フロ-インジェクション装置(K.Takahashi et al.,(1989)Analytica Chimica Acta 220,13ー21)を二台連結した形で組立て、キナ-ゼ・ホスファタ-ゼによって変動するリン酸濃度を色素を用いて測定する方法を採用している。さらに、この装置は、分光的な測定が不可能な場合(例えば、〔^<32>P〕ラベルのリン酸化物を利用したミリ秒オ-ダ-のタンパク質のリン酸化・脱リン酸化反応の追跡等)を想定して、ミリポアフィルタ-濾過による瞬時反応停止装置として転用可能な形に設計されている。 申請初年度(平成元年)には、まず、研究代表者と分担者(高橋)による本装置のシステム構成の検討の後に、日立製作所那珂工場にて分担者(保田)とのシステム設計や実際の組立における問題点等を討議した。その結果、当初に計画していた試料注入部の組立を中止し、その代わりに日立製作所の新製品インテリジェントオ-トサンプラASー4000形を採用した。この変更は、新型オ-トサンプラの方が当初計画の試料注入器よりはるかに高性能であり、さらにより目的にかなっていたために行われた。申請された本装置の関連備品一式の納入後に装置本体が組立てられ、分担者(高橋)によってその装置の自動制御等に関するプログラミング・性能チェックが行われ,現在パソコンへのデ-タ取り込み等に関するプログラミングが行われている。このプログラミング終了後に、実際の試料を用いたテストを行う予定である。
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